特色のある政策ほど結局は実現しない

7月21日に第23回参議院議員選挙の投開票が行われた。この原稿を執筆している段階(7月12日)では、結果はわからないが、自公与党の躍進、民主党の低調、共産・維新・みんなの三つ巴という基本構造は動かないまま、選挙戦を終えたものと思われる。

選挙報道は、大きく分けて、3つのパートからなっている。第1は各政党の公約比較、第2は各選挙区の情勢分析、第3は選挙後の政治情勢の予想である。

各選挙区の情勢報道については、参議院選挙は組織選挙の傾向が強いので、事前にほぼ予想が可能である。まして、今回は、争点があるようで、実はあまり争点化されていない選挙なので、大きな「風」が吹くこともなさそうだ。それでも、不確実要素があるとすれば、天候によってかなり左右される投票率だ。選挙区情勢を予想するよりも、天気予報をした方が、結果予想には役立つだろう。

選挙後の政治情勢の予想については、なぜか、あまり報道されない。普段の政治記事は、憶測に基づいた、「合従連衡」の予想が半ば飛ばし気味に報道されるのに、選挙中にはぴたりと止まる。せめて、予想される獲得議席数について複数のシナリオをつくり、それに基づく政界再編の予測記事が出てきても良さそうなものなのだが。

そこで、選挙報道の中心になるのは、いわゆるマニフェスト選挙の影響もあり、各政党の公約比較の記事になってくる。そして、少なからぬ有権者は、この公約を基に投票行動を行う。最近では、設問に答えることで、自分の考えに近い政党や候補者がわかる「ボートマッチ」というサービスを提供しているウェブサイトもある(※1)

しかしながら、私は公約を基準に投票先の政党を選んでもあまり意味がないと考えている。その理由は4点にまとめられる。