――90年代以降、大手が採用抑制を続けてきた一方、ベンチャーへの就職者が漸増。DeNA、楽天といった新興企業の成功がその流れを加速させている。
2005年頃からマッキンゼーやゴールドマン・サックスといった外資系企業が、東大法学部の学生を対象としたアンケートで高い人気を獲得するようになりました。ところが08年のリーマンショックを境に、外資系の人気に陰りが見られるようになります。
一方で日本に目を向けると、DeNAやグリー、サイバーエージェントなどの企業が同じ5年ほどの間に業績を拡大してきました。そんななかで、これまで外資系企業を目指すべき1つの頂と考えていた学生たちが、伸び盛りのネット系のベンチャー企業にも目を向けるようになってきたわけです。
彼らと接していて特徴的なのは、「会社」というものに依存する気持ちがほとんど感じられないことです。「いざとなったら仲間や先輩たちと会社をつくりますから」とさらりと言ってのける。「ヒルズ族」の時代にあったような地位やお金への憧れが希薄で、世の中に対する仕事の意義や意味を強く求めるのも特徴の1つでしょう。
また、組織より気の合う仲間、尊敬できる先輩を大切にし、「何をやるかではなく誰とやるか」「自分を成長させるチームにいること」に彼らは意識的です。そうした意識は、早い速度で事業や流行が移り変わるネット系の企業と相性がいいものでもあるのでしょう。
スローガン社長 伊藤豊
東京大学卒業後、日本IBMを経て、大学生のベンチャー企業への就職支援を行う同社設立。
東京大学卒業後、日本IBMを経て、大学生のベンチャー企業への就職支援を行う同社設立。