東大を出て大企業に就職するのは、損だと思う。
僕の東大時代の同級生にもフジテレビや三菱商事といった大企業に就職した人がいるが、そういう会社に入ると、「東大卒の○○さん」ではなく、「三菱商事の○○さん」になってしまう。大企業には早稲田や慶応の出身者も大勢いるが、はっきり言って、早慶に入るより東大に入るほうが20倍も30倍も難しい。
つまり大企業に入ると、大学受験というゲームにおいて優勝した人間が、そうでない人間と同じ括りで扱われることになってしまう。偏差値でいえば、自分の偏差値より低い平均値の集団の一員と見なされるわけで、これは損だ。
反対に、名もない大学を出た人が大企業に就職するのは、得だと思う。出身大学の知名度が低くても、今度は「早慶東大の人が入る三菱商事の○○さん」と認識される。つまり、自分の偏差値より高い平均値の集団の一員と見なされ、いわば偏差値が底上げされる。これは得だ。
こんなことを言うと、不謹慎な考え方と言う人が必ず出てくるものだが、日本社会は看板で人を判断する社会であることは事実だ。東大卒にとって大企業への就職は箔をつけることにはならないが、二流以下の大学の卒業生にとっては箔づけになる。これが、大企業への就職を客観的に見たときの真実ではないだろうか。
東大に合格したという実績(僕は中退している)は、ベンチャーを起業するうえでも大いに役立った。僕は在学中に起業したが、東大生であるというだけで、少なくともいかがわしい人間ではないと認識してもらうことはできた。これは得だった。もしも僕が名もない大学の卒業生だったら、起業するのは難しかっただろう。もっと言ってしまえば、人間の能力は、平準化すれば、学力とほぼ比例する。つまり、学歴が低い人がベンチャーを起業しても、失敗するケースが多いと思う。