社会人は常に努力する自己研鑽能力が問われる

小さい頃からの学習習慣が出世に有利に働くこともある<br><strong>ジャーナリスト 溝上憲文</strong>●1958年、鹿児島県生まれ。明治大学政経学部卒。経済誌記者などを経て、フリーに。著書は『超・学歴社会』『会社を利用してプロフェッショナルになる』など。
小さい頃からの学習習慣が出世に有利に働くこともある
ジャーナリスト 溝上憲文
1958年、鹿児島県生まれ。明治大学政経学部卒。経済誌記者などを経て、フリーに。著書は『超・学歴社会』『会社を利用してプロフェッショナルになる』など。

充実かつ豊かな人生を送るには、(1)経済財、(2)知識財、(3)関係財、(4)威信財――という4つの資源が必要と言われている。経済財と知識財はお金と知識や教養であり、関係財とは友人・知人などの人とのつながり、人脈を意味し、威信財は人々の信頼や人望など社会的権威、信用を表す。

会社員として成功する場合も同じである。まず会社に入る際の採用試験においてどの大学を出たのか、という学歴が有力な指標の一つになっていることは今も昔も変わらない。なぜ大学名を指標にするのか。理由は大きくわけて、(1)会社への貢献度の高いOB・OGが多い=実績校主義、(2)短時間の面接等で能力の見極めが困難=大学偏差値主義、(3)社会的に優秀と認知された付加価値=ブランド主義――の3つであろう。

たとえば(1)に関しては総合商社では東一早慶以外に小樽商科大、長崎大、大阪市立大といったOBの多い旧高等商業学校系の地方国公立大からも採用。(2)についても採用規模の大きいメガバンクや大手企業はリクルーターを使った特定大学の囲い込み採用を実施。(3)に関しては上場を目指すベンチャー企業などが社会的認知を獲得するために有名大学出身者を採用する傾向からもうかがえる。

大学の偏差値を重視するのは、「難関と言われる大学に入れたのは受験勉強など人一倍の努力を重ねた証しであり、その努力は評価したいし、知識・教養といった基礎的素養もあると見ている」(大手流通業の人事部長)と指摘する。