ひとくちに「健康食品」といっても、機能性表示食品、栄養機能食品、特定保健用食品とさまざまな種類がある。どれが健康にいいのか。国立医薬品食品衛生研究所客員研究員の畝山智香子さんは「どれも健康にいいという確かな根拠はない。しかしリスクはある」という――。(第2回)

※本稿は、畝山智香子『サプリメントの不都合な真実』(筑摩書房)の一部を再編集したものです。

サプリメント
写真=iStock.com/sasirin pamai
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「健康食品」と「特定保健用食品」とは

本稿では、そもそも「健康食品」と呼ばれるものはどういうものなのか、法律による定義やその実情を確認したいと思います。

まず、ヒトが口から摂取するもので医薬品に分類されるもの以外はすべて「食品」となります。一般的に食べるものとして想像される料理やお菓子のほか、水やガム、錠剤も「食品」です。そのうち、健康によいという宣伝文句で販売されているものが、広い意味での「健康食品」になります。

なかでも法律上の定義があるものとして特定保健用食品(トクホ)、栄養機能食品、機能性表示食品の三つがあり、これら三つをまとめて保健機能食品といいます。これら三つの保健機能食品について、以下で簡単にまとめておきましょう。

トクホは、消費者庁が個別の製品について評価したうえで、健康の維持・増進に役立つ、あるいは適するといった表示を認めているものです。例えば「○○(製品名)には△△(成分名)が含まれているため、便通を改善します。おなかの調子を整えたい方やお通じの気になる方に適しています」といった表示が、「許可表示」として記載されています。安全性についても食品安全委員会が評価をし、トクホマークがついています。

特定保健用食品及び条件付き特定保健用食品には、許可マークが付されている
特定保健用食品及び条件付き特定保健用食品には、許可マークが付されている(出典=消費者庁「特定保健用食品制度の概要」)

「栄養機能食品」とはどういうものか

次に、栄養機能食品は、必要な栄養成分(ビタミン、ミネラルなど)が不足しがちな場合に、それを補給するために利用できる食品です。国による個別の審査を受ける必要はなく、すでに科学的根拠が確認された栄養成分を一定の基準量含んでいれば、栄養成分機能を表示できます。

例えば、一日の摂取目安量あたり葉酸を72〜200マイクログラム含んでいれば「葉酸は、赤血球の形成を助ける栄養素です」「葉酸は、胎児の正常な発育に寄与する栄養素です」と表示することができます。あるいはカルシウムなら204〜600ミリグラム含んでいれば「カルシウムは、骨や歯の形成に必要な栄養素です」と表示できます。

ビタミンやミネラル以外では、n-3系脂肪酸の「n-3系脂肪酸は、皮膚の健康維持を助ける栄養素です」という表示だけが認められています(n-3系脂肪酸とは魚に多く含まれるエイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)、αリノレン酸などを指します。n-3とは脂肪酸の分子の二重結合の位置を示します)。