大学に進学するメリットとはなにか。43歳で早稲田大学教育学部に入学し直した予備校講師の伊藤賀一さんは「都市部における学歴は、地方における自動車免許と似ている。大卒カードが今やレアではないからこそ、社会保障として持っておくと助かるものになった」という――。

※本稿は、伊藤賀一『もっと学びたい!と大人になって思ったら』(ちくまプリマー新書)の一部を再編集したものです。

早稲田大学
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現役時代は第七志望の大学に入学

1991(平成3)年。京都出身のぼくは、18歳で私立・法政大学の文学部史学科に入学しました。受験中の2月にバブル経済が崩壊し、4月に上京するという最悪のタイミング。社会は暗い雰囲気がただよっていました。でもだからこそ、とくに浮かれることもなく社会科の塾講師や家庭教師のアルバイトに打ち込み、22歳ですんなり卒業しました。

法政大は、東大・早稲田・慶應・立教・明治・法政と並ぶ東京六大学のうち入試難易度がいちばん低く、「六大学には入るけど5本の指には入らない」と揶揄されることもあり、ほんとうは早稲田、せめて明治には行きたかったぼくとしては第七志望。それでも唯一合格し、拾ってもらった大学で、感謝もしているし大好きでした。

卒業した後は、新卒で就職した難関大受験塾の校舎長と東進ハイスクール講師の2つの職に就いていましたが、両方を30歳で離職。3年半の全国流浪や、35歳での結婚、40歳での受験サプリ(現在のスタディサプリ)スタートへの参加など、いろんな経験をしながら、おもに社会科予備校講師や物書きとして生きていました。