「5㎏5000円超」でも売れる時代に

ここへ来て、コメの価格が再び上昇している。流通が始まった早場米の小売価格は、一部地域で5キロ当たり5000円を超えたという。価格上昇にもかかわらず、売れ行きは好調のようだ。

その背景には、コメの需給がタイトなことがある。政府が随意契約で備蓄米を放出したことで一時的に需給は緩んだものの、少し長い目で見ると、やはりコメの需要はそれなりに旺盛だ。それに対して、わが国の農業政策の影響もあり供給は伸び悩み傾向だ。

政府備蓄米の販売期限延長を発表する小泉進次郎農林水産相=2025年8月20日午前、東京・霞が関の同省
写真=時事通信フォト
政府備蓄米の販売期限延長を発表する小泉進次郎農林水産相=2025年8月20日午前、東京・霞が関の同省

また、米の流通経路が複雑であることも、コメ問題を難しくしている。流通の経路が複雑だと、どうしても供給サイドが市場の状況に迅速に対応できない。精米設備の不足も、価格上昇の一因になっている。

【図表】スーパーでの販売価格の推移

ふるさと納税で何とかしのぐ消費者

そうした事情は、消費者(需要者)も敏感に感じている。消費者の間で、「コメの価格は下落しづらい」との意識が定着し始めたようだ。ふるさと納税を利用して、コメの確保を急ぐ消費者も増えているという。それに伴い、一部の業者は早場米の収穫が始まる以前の段階から、2025年産の新米を確保しようと動いた。

政府は、備蓄米の放出期限を当初の期限だった8月から延長する。しかし、コメの流通の効率化には時間がかかる。生産を増やすにも、人手不足が供給を制約する。需要、供給の両サイドでコメの価格先高観は高まりそうだ。