「熱中症」を未然に防ぐには

連日、過去最悪ともいえる猛暑が続いています。気象庁のデータによると、2025年7月の全国平均気温は平年(2020年までの30年平均)より2.89度上回り、1898年の統計開始以来、過去最高を更新。記録更新は3年連続です。また、8月には群馬県伊勢崎市で史上最高気温となる41.8度を観測。記録破りの暑さが全国を覆っています 。

その影響は私たちの命にも及んでいます。総務省消防庁のデータによると、熱中症で救急搬送された人は、今年6月に過去最多の1万7229人で、そのうち65歳以上の高齢者が6割以上を占めています。7月には、1週間だけで1万人以上が搬送された週もありました。

このような常軌を逸する暑さで、命を守るにはどうすればいいのでしょうか。本稿では、プレジデントオンラインで反響の多かった記事3本を紹介します。熱中症対策で見逃されがちな"盲点"――スポーツドリンクの落とし穴「ペットボトル症候群」、汗と食欲不振が引き起こす「かくれ貧血」、そして高齢者に特有の体の変化――を整理し、正しい知識に基づいた備えをご紹介します。

「最悪の場合は死に至る」スポーツドリンクの飲み過ぎが引き起こす悲劇

出典:プレジデントオンライン(2021年7月26日公開)

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熱中症には、こまめな水分補給や冷房の使用といった対策は広く知られていますが、それだけでは命を守るには不十分なこともあります。産業医の池井佑丞さんは、スポーツドリンクの飲み過ぎが思わぬ事態を招くことがあると指摘しています。それが「ペットボトル症候群」です。<記事を読む>

ペットボトル症候群とは、糖分を多く含む清涼飲料水を大量に飲み続けることで、急性の糖尿病に似た代謝異常を起こす病気です。正式名称は「ソフトドリンクケトーシス」といい、記事では特に10~30代の若い男性に多く、糖尿病などの既往歴がなくとも発症することが特徴だと指摘しています。

500mlのスポーツドリンクには約20~30g、炭酸飲料やコーラには50g以上の糖が含まれていることがあり、角砂糖にすると10~15個分に相当します。喉が渇いたからと何本も飲むと、血糖値が急激に上昇し、喉の渇きがさらに強くなり、また飲んでしまう……。この悪循環によって血糖がうまく細胞に取り込まれず、意識障害を起こす原因になる恐れがあるといいます。

池井さんは記事で、対策にはスポーツドリンクを2~3倍に薄めて飲んだり、水やお茶を中心に摂る工夫の大切さを強調しています。熱中症予防のつもりで、かえって命の危険にさらされることのないよう、飲み物の選び方には気をつけたいものです。

日本の酷暑で1000人超の命が奪われている…「水分と塩分をいっぱい摂る」だけでは熱中症を予防できないワケ

出典:プレジデントオンライン(2024年7月22日公開)

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「水分と塩分をしっかり摂りましょう」とよく言われますが、それだけでは不十分なこともあります。総合内科専門医の梶尚志さんは暑さによって体内の「鉄分」も失われ、気づかないうちに"かくれ貧血"に陥ることがあると注意を呼び掛けています。<記事を読む>

記事によると、「かくれ貧血」とは、血液検査では貧血と診断されないものの、体内の鉄分が不足している状態を指します。特に汗をかきやすい夏場は、鉄欠乏が起こりやすくなるといいます。鉄は、酸素を全身に運ぶヘモグロビンの材料として不可欠な栄養素です。鉄が不足すると、筋肉や脳に十分な酸素が行き届かず疲れやすくなるなど、夏バテの原因になるとも指摘されています。

記事では、レバーや赤身肉(牛・豚)などの鉄分を効率よく摂る食材を紹介。また、柑橘類、トマト、ピーマンなどを一緒に摂ることの利点を解説しています。「夏バテ気味」「体がだるい」と感じたときは、水分・塩分だけでなく、鉄分の不足も疑ってみる必要がありそうです。

「エアコン代をケチるから」だけではない…高齢者が熱中症でバタバタと倒れる医学的理由

出典:プレジデントオンライン(2022年8月12日公開)

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熱中症による死者・搬送者の多くを占めるのが、高齢者です。暑熱対策に詳しいスポーツ医学博士の中村大輔さんは「暑さに対する抵抗力や喉の渇きを感じる機能は、加齢によって弱まってしまう。特に高齢者は、空調を適切に使うことはもちろん、体内の水分量に注意してほしい」と記事で指摘しています。<記事を読む>

エアコンを使わない、暑さを我慢してしまうといった生活習慣だけでなく、「加齢による体の変化」も決して見逃せません。記事によると、筋肉は体内の水分を多く含んでいるため、年齢による筋肉量の低下はそのまま体水分量の低下。さらに体温調節能力が落ちることで、脱水にもなりやすくなるといいます。

さらに、高齢者は喉の渇きに鈍くなりがちです。暑さに体を慣らす「暑熱順化」という機能も弱まることが指摘されています。その結果、水分不足や体に熱がこもりやすくなり、室内でじっとしているだけでも熱中症を起こす危険性があるのです。

中村さんは記事で、こうしたリスクを減らすには、次のような工夫が有効だと指摘しています。ぜひ参考にしてください。

  • ・室内温度は25~28℃を目安にエアコンを活用する
  • ・遮光カーテンやグリーンカーテンなどで日差しを遮る
  • ・就寝前に入浴し、寝る前に室温・湿度を快適に保つ
  • ・毎朝の体重をチェックし、前日より1.5%以上減っていれば脱水のサインと判断する
  • ・水分を定時的に摂取する習慣をつける(喉が渇いていなくても)
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知識で酷暑・残暑を乗り越える

熱中症対策は「とにかく水を飲もう」「冷房を使おう」といった対処法が思い浮かびますが、それだけではリスクを見逃恐れがあります。

これからも暑い日々は続きます。「何を飲むか」「何を食べるか」「どう過ごすか」を見直してみませんか。体に耳を傾け、科学的な知識をもとに行動することが、自分や家族の命を守る一番の備えとなるはずです。

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