近くの競合を真似てもインパクトが足りない

篠﨑友徳『世界はコンセプトでできている』(かんき出版)
篠﨑友徳『世界はコンセプトでできている』(かんき出版)

たとえば、スターバックスの「サードプレイス(第3の場所)というコンセプトは、アメリカ国内にある競合の喫茶店の優れたところから学ぶのではなく、イタリアで社交の場となっていたエスプレッソバーからインスピレーションを得たものでした。これは、アメリカだけを見ていては得られなかった、「新しい視点」と言えるでしょう。

また、同じコーヒーショップの、アメリカのブルーボトルコーヒーも、創業者のジェームス・フリーマンが来日した際、日本の喫茶店のマスターがゆっくりと丁寧にコーヒーを淹れるスタイルと技術の高さに衝撃を受けた結果、国外1号店を東京の清澄白河へ出店することを決めたと言います。

さらに、そのインスピレーションから生まれたコーヒーも京都の店舗で提供しています。このように、異なる国や地域の視点は、今も昔も、大きなインパクトになります。

場所が変われば「既存の価値」も新しくなる

「お好み焼き」を食べるとき、日本では、ソースやマヨネーズをつけますよね。

実は今、フランスでは「お好み焼き」が寿司やラーメンに続く日本食としてブレイクしており、パリのお好み焼き屋さんは多くのフランス人で賑わっています。

その最大の理由は、日本人には馴染み深い、あの茶色い「ソース」と言われています。

フランス料理はさまざまな食材で丁寧につくられた「ソース」を大切にする文化ですが、そのソースの本場のフランスでは、これまで日本の定番ソースに馴染みがありませんでした。

それがひとたび持ち込まれると「おいしい!」と評判になったのです。

ソースがかかるお好み焼き
写真=iStock.com/agaliza
※写真はイメージです

さらに、お好み焼きはベジタリアンなど、現地の食習慣に合わせたメニューをつくりやすいことも相まって、その人気が広がっているのです。

このように、国や地域が違うだけで、モノや体験の価値は大きく変わってきます。

そのため、「別の場所にすでにある価値を、こちらに持ち込むとどうなるか?」と考えたり、逆に「別の場所に持っていくとどうなるか?」といった視点で発想したりしてみると、新しい価値が生まれてくるかもしれません。

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