トヨタで感じた「そもそもどういう意味?」

なぜ、こんな提案をするのか。私がサラリーマン時代を過ごしたトヨタ自動車(以下、トヨタ)での体験を共有させてください。

以前、トヨタのアメリカ支社で勤務していたことがあるのですが、当時一緒に仕事をしていた同僚の中に、まさに先ほどのような曖昧フレーズを多用する人(日本人です)がいました。

「まずは優先順位をつけてさあ」「もっと視野を広げて考えようよ」「ここはお客様目線で仕上げていかないと」等々。

日本語によるコミュニケーションだと、こういった言い回しでも何となく成立してしまうのですが、改めて文字にして書き出してみると「何をどうしたら良いのか、さっぱりわからないな……」と感じるのではないでしょうか。

巨大な迷路に困惑しているビジネスマンの後ろ姿
写真=iStock.com/Wavebreak
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具体的にどのような手順を踏めば、「優先順位」をつけたり、「広い視野」で考えたり、「お客様目線」で働けたりするようになるのか。こうした曖昧フレーズによるコミュニケーションは、実は何も語っていないのに等しいのです。

普段からこんなセリフのオンパレードだったので、会議についても「次の会議、名ファシリで頼むよ!」という調子でした。

私は内心、「名ファシリって、何をどうすればうまく会議のファシリテーションができるのか言ってほしいんだけどな」「というか、ファシリテーションってそもそも何?」と感じていましたが、年次も役職も上の人だったため、当時は「はい、わかりました」としか返答できませんでした。