※本稿は、谷頭和希『ニセコ化するニッポン』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
苦境に陥った総合スーパーマーケット
総合スーパーマーケット(GMS)という業態が、現在、苦境に陥っている。というか、もはや「過去のもの」になりつつある。GMSとは食料品や日用品をはじめ、衣料品・実用品などを総合的に幅広く取りそろえる小売業態のことを指す。「スーパーマーケット」といって思い浮かべる業態全般をイメージしていただければいいのではないかと思う。
かつて、代表的なGMSとされた、「ダイエー」「ジャスコ」「イトーヨーカドー」のうち、「ダイエー」は経営破綻、「ジャスコ」はどんどんと「イオン」に鞍替えして、ショッピングモールの運営を行うようになり、「イトーヨーカドー」もこれから説明するようにかなりマズい状況に陥っている。
ここで具体的に見ていくのは「イトーヨーカドー」だ。このGMSは、2024年の春頃から、北海道と東北、信越にある全17店舗を順次閉店することを明らかにした。さらに、ヨーカドーの親会社で、セブン‐イレブンを運営する「セブン&アイ・ホールディングス」が2027年度を目処に、ヨーカドーをはじめとするスーパーマーケット事業を分離することを発表。セブン‐イレブンなどのコンビニ事業に力を入れるらしいが、「ヨーカドーはヨーカドーでがんばってね!」と切り捨てられたようなものである。
イトーヨーカドーの苦境は、いったい何に由来しているのか。その歴史を駆け足で見ながら、「選択と集中の失敗」例であるヨーカドーの状況を見ていきたい。