移動は「階段」、空き時間には「ダンベル」

昼食後は決まって、大学にある研究室のソファの上で昼寝をします。時間はおおよそ1時間。大学の私の研究室は3階にあり、階段を使って上り下りしています(写真2)。とはいえ、随分と足腰も弱ってきましたから、長い距離を歩くときには杖を使って歩くこともあります。

写真提供=女子栄養大学出版部
【写真2】92歳、3階の研究室までの移動はなんと……

コロナ前まではよくプールに通っていました。滞在時間は1回あたり、2時間くらい。好きなのは平泳ぎで、クロールもします。ただ、速度は遅く、ゆっくり泳いでいました。

92歳の現在、体力の維持という点に関しては、ダンベル(鉄亜鈴)体操のような「抵抗力」を増す運動と、散歩や自転車のような「持久力」を増す運動の2つを習慣にしています。

ダンベルは、自治医科大学の体育館と自宅の2カ所で時間があるときに、両手にそれぞれ3〜5キロくらいの重さのダンベルを持って、上げ下げする程度です(写真3)。

自動車の免許は返納していますから、自宅周辺の移動手段はもっぱら自転車です。90歳を超えての自転車は危ないと言われることもありますが、食品や日用品を買いに行く際には欠かせない移動手段となっています。

撮影=池口祥司
【写真3】92歳の今も続ける“ダンベルトレーニング”

先述したように帰宅時間はその時々で違いますが、基本的には夜の11時半頃には眠るようにしています。朝6時に起きるので、昼寝の1時間を足すと、1日の睡眠時間はおおよそ7時間半くらいです。

ちなみに、2021年のデータ(OECDの調査報告)によると、日本人の平均睡眠時間は442分(7時間22分)で、世界平均の508分(8時間28分)に比べて短く、OECD諸国の中で最短です。十分な睡眠がとれないと、うつ病や認知症のリスクにつながります。

お酒はある程度飲めますが、毎日飲むということはありません。お酒が健康に与える影響については『92歳、栄養学者。ただの長生きではありません!』の第3章で解説することにします。

脳や心臓に異常なし、コレステロールも正常値

冒頭でもお伝えしたように、「論より証拠」も大切ですから、『92歳、栄養学者。ただの長生きではありません!』でご紹介している生活習慣を繰り返した末に、私は本当に健康を維持しているのかをデータで確認してみましょう。

2024年現在、私の脳のCT画像では、梗塞の斑点も脳血管の異常も見られません。また、心電図の検査もしましたが、右脚ブロックという無害な変化のみ確認できました。なかなかよい結果ではないでしょうか。

薬については、次の薬を定期的に内服しています。

・甲状腺ホルモンのチラーヂン(甲状腺腫瘍により甲状腺の右葉を切除したため)
・メバロチン(抗コレステロール薬)
・降圧剤(高血圧を起こしやすい遺伝子多型のため)
・抗生物質(腎臓結石破砕術後の慢性腎盂腎炎のため)

また、図表4と図表5は最新の臨床検査値と、1週間の連続自動血圧測定の結果です。慢性腎盂炎のために、腎機能は低下して尿素、クレアチニンは高値ですが、コレステロール値等はすべて正常です。血圧もいろいろな行事に参加した後も正常値を保っており、模範的といえる数値となっています。