350人の女性志願者が集まった

では公募の結果はどうだったのか。応募者は350人強、うち250人がマーチャンダイズ部門の志望だった。書類選考後、応募者の2割弱を対象に数次の面接を実施し、最終的に3人の採用が決定した。残念ながらマーチャンダイズ部の部長職の採用には至らなかったが、同部の課長職、人事部のアシスタントマネージャー、内部監査室長の3人を採用した。同時期に転職エージェントを通じて女性の法務部長ほか2名の採用も決まっている。

内部監査室長は公認会計士と税理士の資格を有し、他の企業で監査役も経験したキャリアの持ち主。同様に法務部長も、企業内弁護士として活躍した経歴を持つ。これまで11人の部長職のうち2人が女性であったが、新たに2人を採用したことで女性部長職は計4人となる。さらにマーチャンダイズ部の女性課長をはじめ新規の採用により管理職比率を19.3%に押し上げることに成功した。

下村本部長も「内部の育成・登用も進めてきたが、初期に比べてこの1~2年は停滞気味だった。今回の取り組みで弾みがついた。これで満足していたらダメであるが、いいスタートを切ることができた」と評価する。同社は当面の女性管理職比率の目標を30%に置いているが、それも通過点にすぎず、さらなる向上を目指している。

新たに採用した女性社員5人はいずれ劣らぬ優秀なキャリアの持ち主であるが、マーチャンダイズ部のクオリティコントロール担当の課長に就任した高橋かおり氏(38歳)は米国の大学院でマーケティングを専攻。卒業後に入社したカネボウ(現クラシエ)では、トイレタリー部門で商品の企画開発などマーケティング業務に従事した。

その後に、実家が経営する輸入雑貨の商社を手伝うことになったが、そこでの経験が彼女を大きく変えた。