カスタネット営業に陥るのは、やはり案件を追いかける営業から脱却していないからだ。案件を刈り取るために種をまくのではなく、顧客との関係を強化するために種をまく。その意識改革が必要だ。
種まき型営業が定着しない原因は、もう1つ考えられる。顧客との関係性を育てる種まき型営業は、種をまいてから果実が実るまで、どうしてもそれなりの時間を要する。ところが売れない営業担当者は、途中でしびれを切らしてクロージングに走ったり、育成を放棄してアプローチしなくなってしまう。要は粘りが足りないのだ。
じつは“あきらめない営業”が必要な理由もここにある。冒頭に挙げたデータを思い出してほしい。売れない営業担当者が半年で見切りをつけてしまうのに対して、トップセールスは平均25カ月、顧客へのアプローチを続けていた。
これは、顧客によっては種をまいてから実をつけるまで、約2年かかるということにほかならない。顧客との関係性を築こうとすれば、数カ月で結果が出るものではない。すぐに結果につながらなくても、粘り強くアプローチを続けていく。それが好成績につながるのである。
長野県生まれ。工学部にて設計を専攻。設計士として活躍後、外資系ISO審査機関で営業職を経験。「最年少」「最短」「最高」記録を更新し、世界8カ国2300人のトップセールスとなる。その後営業に特化したコンサルティングファーム、カーナープロダクトを設立。「利益に直結させる」をモットーに数多くの企業の営業力強化に携わる。