わがままな患者でいい

鎌田先生は言います。

「多くの患者さんは善玉コレステロールも、悪玉コレステロールもそれほど大きな変化がなく、薬をやめても安全ということを確認しています」

「コレステロール値は高めの人の方がむしろ長生きしているし、その方ががんにもなりにくいというのが、ある種の調査でわかっている」

(『医者の話を鵜吞みにするな わがままな患者でいいんです』の鎌田實先生の発言より)

繰り返しになりますが、高齢者の体には、「足りない」という害の方が、より悪い影響を及ぼすのです。足し算の医療が理想なのです。

亜鉛というミネラルが欠乏しても、若い頃はそう影響は大きく出ません。

しかし高齢になって亜鉛不足が強くなると、味がわからなくなったり、男性ホルモン不足が起きたり、新陳代謝にも影響を及ぼして大変です。

とにかく食べ物の種類も増やすなどして、いろんな栄養素を「足す」、数値も下げていくのではなく、上げて結構。糖分も足し、ナトリウムも足し、さらには、運動も足し、ホルモンも足す。

臓器別診断の弊害

数値を下げることを勧める「引き算の医療」で本当に寿命が延びるかどうかについては、残念ながら日本人に関しての大規模比較調査がないのでわかりません。

ではどちらを選ぶべきか。これはもう皆さんの判断に任せますが「足し算の医療」の方が、特に高齢者は、今より元気になることは間違いないと思っています。足すことの医療で長生きできる保証はありませんが、元気でいられることの方が絶対いいと思いませんか。

今を楽しく生きましょうよ。

たぶんこういった矛盾が生じるのは、これまでお話ししてきた通り、今の医療が臓器別診断によって行われて「木を見て森を見ず」みたいになっているからでしょう。

私のような思考は、とんがりすぎているかもしれませんが、自分に正直に生きて医療も医者の言いなりにならずに、「受ける必要がない検査は受けませんし、飲んで害が大きい(と自分で感じる)薬は飲みません」と主張するのはまったく問題ないと思います。

むしろ、「わがままな患者のススメ」をしたいぐらいです。