子どもが不登校になりやすい家庭には、どんな特徴があるのか。不登校や引きこもりの支援を39年以上続けている杉浦孝宣さんは「親が子どもの意思を無視して受験をがんばらせていたり、逆に甘すぎたりするケースが多い。特に金銭面で甘いと自立しようとする気持ちを奪ってしまうので要注意だ」という――。

※本稿は、高濱正伸、杉浦孝宣『もう悩まない!不登校・ひきこもりの9割は解決できる』(実務教育出版)の一部を再編集したものです。

父親と一緒に歩く子ども
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コロナ禍で急増した不登校

2020年3月に当時の安倍晋三首相は、新型コロナウイルス感染症への対策として小中高の一斉休校を実施しました。その後も延長され、5月の下旬から6月ごろまで各学校で休校の措置がとられたのです。

夏休みよりも長い約3カ月もの間、強制的に日本全国の小中高校生が、「不登校・ひきこもり状態」にされてしまったわけです。

ただでさえ、夏休みやゴールデンウイークなどの長期休みの後は、不登校になりやすいのです。

長期休みで学校に行かなくてもいい日が続くと、朝早く起きる必要がなくなり、深夜までゲームや動画にのめり込んでしまって、生活リズムが崩れてしまいます。

休みが終わっていざ学校が始まっても、この狂った生活リズムを立て直すことができなくなることが、不登校につながるのです。

休み期間が前代未聞の3カ月も続いたわけですから、大きな影響を及ぼさないわけがありません。

私は何度もその危険性を新聞やテレビなどで指摘してきましたが、結局そのとおりになってしまいました。不登校もひきこもりも大きく増加したのです。

実際のデータでも、ひきこもりになったきっかけが新型コロナウイルスの流行にあるという調査結果が出ています。

内閣府の「こども・若者の意識と生活に関する調査」(令和5年3月)によると、ひきこもりの人(※)にその状態になった最も大きな理由をたずねると、「新型コロナウイルス感染症が流行したこと」と答えた割合は、10~14歳では36.1%で1位、15~39歳では25.7%で1位、40~69歳では23.1%で、1位の「退職したこと」に次いで2位と、有意に高くなっています。コロナがひきこもりを急増させたのです。

※ひきこもりの人とは、内閣府の「こども・若者の意識と生活に関する調査」(令和5年3月)の報告書のなかで、「ふだんは家にいるが、自分の趣味などの用事のときだけ外に出かける」「ふだんは家にいるが、近くのコンビニなどにはでかける」「自分の部屋からは出るが、家からは出ない」「自分の部屋からほどんと出ない」と回答した人のうち、現在の外出状況になってからの期間が6カ月以上である人のことを指す。