なぜラーメン屋なのに甘味メニューがあるのか

実は、ラーメンチェーンは群雄割拠の業界で、カフェチェーンの「スターバックス コーヒー」や「ドトールコーヒーショップ」のように1000店を超えて全国展開するブランドはない。

売上高でラーメンチェーン最大手の「日高屋」(主力ブランドは「熱烈中華食堂日高屋」)も国内店舗数は440店を超すも首都圏中心。350店超の「幸楽苑」は、以前は西日本にも展開していたが、現在は東日本中心だ。

「丸源ラーメン」は全国展開するブランドだが店舗数は216店、関西中心「天下一品」も200店規模だ。カフェチェーンに比べて店舗数が多くないのは、地域によって味の好みが異なる、原材料を配送する物流効率性を重視する――といわれる。

競合チェーンの多くはラーメン専門店や中華料理店らしい品揃えだが、スガキヤは少し違った横顔を持つ。

今年の夏は酷暑が続き、8月の平均気温は歴代2位の高温だった。9月も暑さが厳しかったので、アイスクリームやかき氷も売れただろう。

スガキヤはラーメン店には珍しく甘味メニューが豊富にある。

ラーメン+ミニソフトは560円

麺類の人気1位は「ラーメン」(税込み430円、価格は2024年9月現在。以下同)だが、甘味では「ソフトクリームミニ」(130円)が首位、2位が「ソフトクリーム」(190円)だ。

ラーメン+ミニソフトを注文するお客さんも多く、2品を頼んでも560円。手頃な価格も支持されるのだろう。

撮影=上野英和
スガキヤでは定番の「ラーメンにソフトクリーム」。

「盛夏にはかき氷(春夏限定や夏限定品)も売れ筋です。甘味メニューは、スガキヤの全売り上げの約1割、夏季は約2割を占めています」(同)

かき氷の上にはソフトクリームがのっており、いちご氷(260円)やラムネ氷(260円)が売れ筋上位だと聞く。ソフトクリームは1年中注文でき、濃厚ではなくさっぱり系の味だ。

筆者はアイスクリーム業界も取材するが、「最高気温が30℃を超えると氷菓系の伸長が加速する」(大手メーカー)という。35℃を超える猛暑日でも傾向は変わらない。

昔から名古屋は暑さが厳しく、「新幹線で名古屋駅に降り立つと東京駅よりも蒸し暑い」と話す社会人は多い。そんな気候も、スガキヤのかき氷の売れ行きを後押しするのか。