大企業なら絶対にできない強引なリストラ
「休みを取ってる人はどうするの?」という問題もありましたが、イーロンは「そんなの関係ない。とりあえずやる」と言って進めてしまいました(休みを取っていてメールも見ていなかった人は、いちおう調整があったようです)。
こういうやり方も「棚卸し」ではない。「2週間くらい猶予を与えて、休んでいる人には連絡しておいて」みたいなステップはないのです。これ以降、同じようなことをやるときには、どこかのビーチでくつろいでいる人にもホテルまで電話して「メールを見ておけ」と伝えるルールになりましたが……。
やり方は本当にベンチャー企業なのです。もし人事や法務のきちっとした部署があったら絶対に止めていたはずです。強引に全部やっていく。イーロンのやり方は、ここにも出ていました。
イーロンが真っ先に切ったのは「広報」
リストラでは、広報を真っ先に切ってしまいました。
イーロンの価値観は「広報やマーケティングは必要ない」というものです。自分自身が広報になるからいいと思っているのです。
よっていちばんに広報を切ってしまったのですが、テスラやスペースXの人と話をして、わかったことがあります。
イーロンは「PRという言葉」が嫌いらしいのです。もともとTwitterの広報職は「PR」とはちょっと違います。でも、誰かが「この部署はどういう部署なのか」とイーロンに聞かれたときに「PR的なものだ」と答えてしまったようです。
一方で、スペースXやテスラに広報のような人たちはいないのかというと、そんなことはありません。広報担当はやっぱりいるんです。でも彼らは自分たちのことを「ロビイスト」とか「ストラテジック・コミュニケーター」といった言い方をしています。
「PR」というのはイーロンからすると、ちょっとチャラいイメージがあるのかもしれません。日本でのスターリンクの発表会も、全部イーロンがチェックをして「広告代理店は絶対に入れるな」と言われたと聞きました。
「無駄に派手にするだけだから、俺は認めない」ということなのでしょう。広報のあり方に関して、イーロン独自の意見があるだけで、別に必要ないと思っているわけではないのです。