イーロン・マスク氏が2022年10月に買収して以来、X(旧Twitter)は世界的なユーザー離れに直面している。日本ではどうなっているのか。成蹊大学客員教授の高橋暁子さんは「類似のSNSとして登場したThreadsやBlueskyを試してみても、結局多くの日本人は居心地の良いTwitterを使い続けている」という――。
スマートフォン上に表示された各ソーシャルメディアのアイコン
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アメリカ人の半数以上がTwitterを「お休み」

マスク氏によるTwitter買収から1年。Twitterにはどんな変化があったのか。

社内では大規模なリストラが行われ、マスク氏は従業員数が約8000人から約1500人に減ったと明かしている。その影響もあってか、サービスが不安定となってデマやヘイトが急増し、巨大IT企業に違法なコンテンツの排除などを義務づける「デジタルサービス法(DSA)」を遵守できずにEU撤退も検討中と言われている。

マスク氏は、複数の機能やサービスを統合した「スーパーアプリ」を目指しているのだろうが、特に求められていない音声・ビデオ通話機能がつき、人気のハッシュタグ機能を廃止予定など、完全に迷走中だ。

Pew Research Centerによると、米国の成人Twitterユーザーの過半数が、マスク氏の買収後、Twitterでの活動を一時休止していたという。また、Twitterで最もアクティブなユーザーも、以前より投稿頻度が減っており、Twitter離れが進んでいる状態だ。

パリ市長「巨大な世界の下水道と化した」

Similarwebによると、 2023年9月時点でのXのトラフィックは前年比で14%減少している。Xが広告主向けに提供しているポータルサイト「ads.twitter.com」のトラフィックも、前年比で16.5%減少している。

11月27日には、パリ市長のアンヌ・イダルゴ氏が「巨大な世界の下水道と化した」としてTwitterを退会すると投稿した。

投稿では「当初は多くの人が情報にアクセスできる画期的ツールだったが、今や民主主義の大量破壊兵器となった」とし、「このプラットフォームとその所有者は意図的に緊張と対立をあおっている」と批判している。