元日に起きた能登半島地震直後から、X(旧Twitter)では多数のデマがみられた。成蹊大学客員教授の高橋暁子さんは「Xの仕様変更によって、インプレッションを稼ぐ目的のユーザーが増えている。それに加えて承認欲求を満たしたいだけの愉快犯もいるので、根絶することは難しいだろう」という――。
バズった投稿をパクる外国人ユーザーたち
Xで「津波到達になった瞬間NHKのアナウンサーがすごい怒鳴ってる! 危機感の伝わってくるアナウンスなので北陸新潟能登半島の方逃げてください」と調べると、200件以上の投稿が見つかる。
最初の投稿は、地震発生直後の1月1日16時17分に投稿されており、320以上のリプライ(反応)、5600以上のリポスト(拡散)、3万3000以上の「いいね」がつけられている。この投稿には、「急いで逃げて!」「これくらい強い口調にしないと伝わらない」などの日本人ユーザーからのリプライが並ぶ。
ところが、途中から、外国人ユーザーによるリプライが増えてくる。あるアラビア語圏ユーザーは、この投稿にリプライする形で本文をコピペ投稿。さらに、他のユーザーからの日本語のリプライもコピペ投稿している。その後もリプライの中には、さまざまな外国人ユーザーからのコピペ投稿や無関係な投稿が増えていく。
他のコピペ投稿を調べると、その多くには動画も付けられている。ただし内容はコピペを繰り返す中で変わっており、テキストとはあまり関係のない土砂崩れ動画や商品が崩れ落ちた店内などのこともある。
車を押し流す黒い大津波動画もあるが、これは東日本大震災時に撮影した動画の転用とみられる。つまりこのほとんどが、日本語がわからない外国人ユーザーが、バズった投稿をコピペしてインプレッション目的で投稿したと考えられるのだ。
インプレッションとは、Xへのポスト(投稿)が他のユーザーのタイムラインに表示された回数のこと。今回の能登半島地震では、こうした「インプレッション稼ぎ」の投稿がリアルの世界に悪影響をもたらしている。