日曜日の“遊び”を制限したのが仇となった
Bさんは、仕事に備えるため、良かれと思って日曜日の“遊び”を自主的に制限し、疲労の回復に努める週末にしたことが、仇となってしまったと感じます。身体の疲労はこれで解決しても、週末の遊びがなくなったため、金曜日の気分を月曜日に引きずるようになり、仕事という緊張感から解放される時間がなくなってしまったことが、不調の原因と思われました。
月曜日からの仕事を考え、日曜日の夜に憂鬱な気持ちになってしまうのは、日曜日の日中に遊んでいた頃はなかったようですから、やはり週末の過ごし方として、休息だけに専念することが逆効果だったのかと推測します。復職する際には、元々の週末のスタイルに戻ってくれるか、新たな週末の過ごし方を見つけてほしいと思います。
では、週末ごとに日頃の緊張感を解いてくれるような予定がないと、人は元気に働き続けられないのでしょうか。そうとは限りません。週末は子供の習い事がいくつもあり、その送迎で終わってしまう、趣味や遠出の時間なんてない、と言いながらも元気に働き続けている社員も私はたくさん知っています。
「人と交わること」「よく眠ること」が不可欠
以前、健診結果の相談で産業医面談にきたCさんは、平日は遅くまで働き、週末は2人の子供の習い事の送迎に追われる日常を送っていました。どうやって仕事を忘れる時間を作っているのかと聞いてみると、送迎の合間に本を読んだり、他の保護者たちと話をするのは楽しく、その間は仕事のことは全く思いださないと教えてくれました。また、習い事も必ずしも毎週あるわけではないので、そんな時は家族で遊びにいくため、この生活の中でも気分転換ができていないとは感じないとおっしゃっていました。
日曜日の夜は翌週を思い憂鬱になることはないの? と聞いてみると、そうならないように、日曜日の夕食は家族全員で楽しく食べ、少しお酒も飲むのでぐっすり眠れる。こうやって月曜日を考えることがないように過ごしていると教えてくれました。
近年の研究では、気の合う人と共に過ごすことや安定した睡眠・覚醒サイクルを維持することで、人の気分が改善することが実証されています。つまり、気分の改善と不安軽減には、人と交わることとよく眠ることが不可欠なのです。