なぜEUはハイブリッド車を禁止するのか

二酸化炭素を排出するガソリン車を禁止し、EVを推進するのは、たしかに、一見するところ、環境問題に配慮しているように思える。だが、EUが設けた販売禁止車の中には、ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車も含まれている。

ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車は、トヨタをはじめとする日本の自動車メーカーが得意とする分野だ。それらをも禁止するのを、環境問題の看板を借りた「トヨタ潰し」「日本の自動車産業潰し」と見ないほうが不自然ではないか。

しかし、いくら文句を言っても、「ガソリン車からEVへ」というのが、すでに世界的潮流になってしまっているなかでは負け犬の遠吠えにしかならない。

いずれ、車はモーターとバッテリーとコンピュータだけで動くものになっていくだろう。

そうなれば、日本の自動車産業は一転、劣勢に立たされる。さしあたってはEUだが、世界全体のGDPの約20%を占めるEUを失うのは非常に痛い。

出所=『ホリエモンのニッポン改造論』(SBクリエイティブ)

「日本車はオワコン」と見られても仕方ない

二酸化炭素を排出しないEVは、とかく「環境問題への配慮」「脱炭素社会の実現」といった耳心地のいいエコ用語と好相性だ。真の意図がどこにあろうとも、大きな声でガソリン車からEVへのシフトを叫ぶことができる。

現にEUだけでなく、アメリカではEV推進のための税制優遇措置が講じられているし、大量の二酸化炭素排出を非難されている中国も、EV推進へと舵を切っている。いずれも掲げられている旗印は「環境問題への配慮」「脱炭素社会の実現」だ。

この世界的潮流、しかも、真意はどうあれ「エコロジーというよいもの」に向かって盛り上がっているトレンドの前では、日本のお家芸であるガソリン車は分が悪すぎる。もはやオワコンと見られても仕方ない。

となれば、このEVシフトの波に乗っていくことが日本の自動車産業の生き筋となるだろうが、それが致命的に出遅れていると言わざるをえないのだ。日産のカルロス・ゴーン氏だけは先見性があったようだが、ほかならぬ日産に追い出されてしまった。