「ダーティー・ソーダ」の流行も追い風に
こうした攻めの姿勢に、消費者側も触発されているようだ。自ら斬新なレシピを披露するケースが見られる。TikTokでは独自のアレンジを加える「ダーティー・ソーダ(非公式ソーダ)」がトレンドとなっており、ドクターペッパーはそのベースのドリンクとして活躍している。
米フード情報メディアのフード&ワインは今年5月、ピクルスを入れたアレンジを取り上げた。ドクターペッパーとピクルスという、「あなたが100%知らなかった味の組み合わせ」があると紹介、記事は、「ちょっと間違っているように聞こえるが、一口飲めば、実は天国のように感じるペアリング」であるとしている。
ピクルスとの組み合わせはすでに流行になっており、テイクアウトで注文するチャレンジも発生しているようだ。アメリカのあるTikToker女性は、ドライブスルーでピクルス入りのドクターペッパーを注文し、その様子を動画で公開している。動画によると、店員は取り立てて困惑することもなく、スムーズに注文できた様子だ。
動画は5月に投稿され、現在までに500万回以上再生される注目を集めた。女性は「注文しているのは私だけじゃないんですよ」「すごくおいしかった!」と述べている。
ほか、ドクターペッパーにホットペッパーを3つほど投入し、「ドクター・ペペロンチーニ」と称して飲むなど、ファンはオリジナルレシピの開発にいそしむ。
「カルト的人気」の枠を大きく飛び出した
かつてドクターペッパーは、カルト的人気を博した飲料だった。クセのある味わいは、好きな人にはとことん愛される一方、コカ・コーラやペプシほど市民権を得た飲み物とは言えなかった。
しかし、Z世代やミレニアム世代はいまや、ありきたりなフレーバーに飽きている。ピクルス入りなど、これまでであれば考えられないようなドリンクを自作するほどまでに、ひとクセもふたクセもある炭酸飲料を渇望している。ドクターペッパーはこれまでの「カルト的人気」の枠を大きく飛び出し、自分らしさあふれるミックス飲料のベースとして、今後も人気は続きそうだ。
USAトゥデイ紙は、オンライン掲示板「レディット」に寄せられたファンの声を取り上げている。多くがドクターペッパーの独特な味わいを称賛しており、「ドクターペッパーは私の一番のお気に入りのソーダだ」といったコメントが見られる。王道を一歩外れたクセの強いドリンクだからこそ、このような熱狂的な支持が生まれ、それがブランドの成長を支えているのだろう。
独特な味わいと熱狂的な人気を武器に、シェアでペプシを引き離し、コカ・コーラにさらに猛追する日も近いかもしれない。