独自の立ち位置を開拓…コカ・コーラの後を追う存在ではない

ユニークなフレーバーを誇るドクターペッパーは、もはやコカ・コーラを追う存在ではない。食事のお供ではなく、スイーツ扱いという独自の立ち位置を切り拓いた。

販売元のキューリグ・ドクター・ペッパー社でチーフマーケティングオフィサーを務めるアンドリュー・スプリンゲート氏は、米ウォール・ストリート・ジャーナル紙に対し、「消費者調査によると、人々はドクターペッパーをおやつとして楽しんでいるようです」と語る。

ハンバーガーとのフードペアリングなら圧倒的にコカ・コーラだが、口寂しいおやつ時についつい手が伸びるのは、甘みたっぷりのフレーバーを楽しめるドクターペッパーというわけだ。

スプリンゲート氏はUSAトゥデイ紙の取材に対し、「(我々の)ブランドは一貫したマーケティングテーマを維持し、独自の味を強調しているのです」と述べ、コカ・コーラやペプシとは異なる路線を追求していると語った。

ライバルを意識しているのはむしろ、ザ・コカ・コーラ・カンパニーの方なのかもしれない。CNNは、コカ・コーラも「スウィーシー(甘くてスパイシー)」と呼ばれるトレンドに乗り、今年2月に「コカ・コーラ・スパイス」を発売したと紹介している。独特なフレーバーが受けているドクターペッパーの成功を意識しての一手とも言えるだろう。

さまざまな炭酸飲料
写真=iStock.com/NoDerog
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独自に風味を生み出す23種類の原材料

うまさの秘密は何か。23種類のフレーバーをミックスしたドクターペッパー風味は、チェリーやバニラをはじめとする果物やスパイスのブレンドで構成されていると言われる。

ワシントン・ポスト紙は、ドクターペッパーのレシピとされる23種類の原料を公開している。それによると、アーモンド、アマレット、ブラックリコリス、ブラックベリー、キャラメル、キャロット、チェリーなどが含まれるという。チェリーのフレーバーは、たしかにドクターペッパーを強く想起させる。

残りの材料は、クローブ、コーラ(コーラノキの木の実)、ジンジャー、ジュニパー、レモン、糖蜜、ナツメグ、オレンジ、ペッパー、プラム、プルーン、ラズベリー、ルートビア、ラム、トマト、バニラと言われるが、正確なレシピは企業秘密だ。

トマトはたしかにフルーツに分類されることがあるが、ドクターペッパーに含まれているとすれば意外だ。レシピは、ダラスの銀行の金庫に分割して保管されているとの逸話がある。