信者たちは「彼こそ本物の政治家だ」

こういう石丸氏の考え方を理解すれば、開票速報や選挙後で質問をしてきたアイドルや評論家にとった態度もそれほど不思議ではないだろう。

「感じが悪い」「高圧的だ」「質問をはぐらかせている」……マスコミからバッシングを浴びせられればられるほど、ニュースは石丸氏一色になる。ヤフーのランキングを見たら石丸氏の顔ばかりだ。もちろん、このようなニュースがあふれたら不快に感じる人もあらわれる。「よく知らなかったけれど、この石丸ってヤバい人じゃん」「すごい政治家かと思ったらメッキがはがれたな」などとネガティブな印象を抱く人も増えるかもしれない。

しかし、一方で「強烈な石丸信者」も増えていくことも忘れてはいけない。「マスゴミ」への不満や憎悪を抱く層からすれば、石丸氏へ向けられている批判は、「忖度なく本当のことを言う政治家への理不尽なバッシング」という認識だ。

だから、石丸氏が叩かれれば叩かれるほど「なぜ“本物”が潰されなくてはいけないのだ」と怒りが込み上げる。そして、「政治」に目覚める。日本を変えるには、石丸氏のような“本物の政治家”が必要だと熱心な支持者になっていくのだ。

トランプ氏も「泡沫候補」だった

嘘だと思うのなら、ネットやSNSを見るといい。石丸氏への批判もあふれているが、それを踏まえて「どう見ても石丸氏の言っていることの方が正しい」「マスコミが必死で潰そうとしている」などと応援している人もそれなりにいる。こういう社会のバッシングに左右されない「岩盤支持層」をつくることができた政治家をナメてはいけない。

それは「あんなのが大統領になったらアメリカはおしまいだ」とヤバい泡沫候補扱いをされていた時のドナルド・トランプ氏を見れば明らかだろう。

忘れている人も多いが2016年の大統領選に出馬した当初、ヒラリー・クリントン氏が「本命」と目されていたこともあって、暴言連発でメディア批判も繰り返すトランプ氏は「ヤバい差別主義者のおじさん」くらいの扱いだった。

2016年3月、アリゾナ州で行われた選挙集会で支持者と話すドナルド・トランプ氏(写真=Gage Skidmore from Peoria, AZ, USA/CC-BY-SA-2.0/Wikimedia Commons

日本のマスコミも「泡沫候補」と鼻で笑っていたが、筆者はトランプ氏の言動を分析して、かなりクレバーな戦いをしていると思ったので、以下のような記事を書いた。

単なる「言いたい放題」ではない! トランプ氏の老獪なメディア戦術」(ダイヤモンド・オンライン2016年1月9日)