「燃料」を本人が投下している

東京都知事選で若者から多くの支持を受けて165万票を獲得して一躍、「時の人」となった前広島県安房高田市前市長の石丸伸二氏がメディアでボロカスに叩かれている。

落選が決まった後、支援者らの前で発言する石丸伸二氏=2024年7月7日、東京都新宿区
写真提供=共同通信社
落選が決まった後、支援者らの前で発言する石丸伸二氏=2024年7月7日、東京都新宿区

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しかし、ご本人はそんな批判もどこ吹く風で、まるで挑発をするように続々と「燃料」を投下している。例えば、テレビ朝日系「グッド!モーニング」の単独インタビューに応じて、開票速報番組で、質問をしてきた出演者たちと会話がかみ合わなかったことを以下のように振り返った。

「内心、おちょくってました」
「ムキになってる、ムキになってるって」

これを受けてネットやSNSでは「こんな人を政治家にしてはいけない」「確かにピントのズレた質問や誘導も多いけれど、相手を見下す態度は人としてどうか」などと石丸氏を批判する声が溢れている。

「マスゴミ」による批判は逆効果

ただ、もし本当に石丸氏を政治家にしたくないと思っているのならこのような批判は逆効果だ。やればやるほど「石丸劇場」が盛り上がり、知名度が全国区になって「信者」が増えていくことにしかならない。

これまでの言動を見る限り、石丸氏が意図的に「敵」をつくって世間の注目を集めて、「戦う政治家」というセルフブランディングをしていくという手法をとっているのは明らかだ。なにせご本人がそう言っている。

例えば、安芸高田市長だった今年2月、「産経新聞」からメディアを敵視して執拗に批判をする理由を尋ねられて、「安芸高田市の生き残り戦略として、知名度・認知度を上げる。悪名は無名に勝る」と答えて、その真意をこう説明した。

「粘着質に見えると思うが(首長は)基本、勝ち目はない。(マスコミは)第四の権力と呼ばれているが、実は一番強い。ただ『マスゴミ』という言葉が言われるくらい、マスコミに対する国民の反感があり、(マスコミを批判する)私のスタンスは(世の中に)響くんじゃないかな、と思いました。知名度を上げると同時に、社会に対し効果的な発信になるんじゃないかなと」

「タイミングを見計らっていたが見事にはまった」 メディア批判続ける安芸高田市長、一問一答 産経新聞24年2月1日)

つまり、石丸氏はただ怒りに任せて攻撃しているわけではなく、知名度アップと「マスゴミ」への不満を感じる層の支持獲得のため、戦略的にメディアを「敵」として位置付けているのだ。