“それでも返信がこない”ときの最終手段とは

さて、ここでは「連絡を遮断し、リマインドにも応えない状況が続いている」お客様に対して、最終手段として取れるアクションをお伝えします。

まず、連絡を遮断し、リマインドにも応えないお客様によくありがちなのは、何らかの大きな社内状況の変化が起こり、下記3つのいずれか(あるいはすべて)が起こっているということです。

①社内状況の変化によってかなり忙しくなった
②その忙しさを説明することが面倒くさい
③検討の優先順位が落ちたことを伝えるのが心苦しい

①は、お客様からすれば「こっちはそれどころじゃなくて、ものすごく忙しいんだ!」という心理があります。たいてい、その忙しさが発生した理由は突発的な(かつ、お客様ご本人にコントロールできない)要因であることが多いでしょう。

「すでに、お客様は忙しさによってストレス指数が相当上がっている」という事実を認識しておく必要があります。

②の「忙しくなった事情」を社外の人物へ丁寧に説明するのは骨が折れます。

高橋浩一『営業の科学』(かんき出版)

社内状況については社外に出せること・出せないことがある(たいていは出せない情報が多い)ので、それを社外の営業担当者にわかりやすく説明するのは相当にエネルギーがかかるものです。状況を説明するメール1本書くのも憂鬱になるレベルでしょう。

③については、「これまでいい感じに進んでいた」案件であるほど、検討が暗礁に乗り上げたことを営業担当者に伝えるのは心苦しくなるものです。

誰でも相手をがっかりさせたくないものです。お客様心理を考えても、営業担当者が悲しむ顔は見たくないでしょう。だから、ついつい、営業担当者への連絡がおっくうになります。

“あなたを理解している”と寄り添ってみる

お客様からの返信が来ない場合、①~③への想像をせずに「早くお返事いただけないと困ります」というクロージングをしてしまうと、プレッシャーが逆効果になります。

まず、メールで伝えるべきは、①社内状況の変化を理解していますというメッセージです。

●(お客様が悪いわけではなく)外的/会社の要因によって、急激な変化が起こったのですよね
●お客様がそれによって忙しくなっているのですよね
●検討ステータスもおそらく以前とは前提が変わっているのでしょう

さらに、この3つの要素を含んだ文章をお送りし、それを読んでいただいた後のタイミングで電話しましょう。

●私は個人的に、XX様と一緒にお仕事したいです(感情)
●それに、この提案は御社に~のメリットがあります(論理)
●そこで、XX様にご負担やご迷惑がかからないよう配慮しながら、社内文脈上ご無理のない形で、プランを練り直します(政治)

上記のメールを送ったうえで、それでも電話に出ていただけないときは、あなたの上司に依頼して「先般より、当社の●●(←自分)がご負担をかけてしまっており、誠に恐縮です」というメールをお客様に送ってもらうのがおすすめです。

そこまですると、お客様も「スルーはさすがに申し訳ないな」と思い、少なくとも、上司のメールに対しては返信が来ることがあります。以上のプロセスが、「リマインドにも反応のない状態が続いている」お客様に対する、最終手段の「助け舟」です。

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