その日の2割の仕事量が全仕事量の8割をカバー
もう少し加えると、ロジスティクス工学では「パレートの法則」がよく活用されます。
パレートの法則とは「成果の8割はその構成要素の2割で成り立っている」という経験則のことをいいます(働きバチのうち、本当に働いているのは全体の2割に過ぎないといわれるのもこのルールです)。
そしてこのルールを毎日のスケジュールとタスクの関係に当てはめると、「その日の2割の仕事量が全仕事量の8割をカバーする」ということになります。
つまり8時間(480分)労働ならば、96分(480分×20%)程度働けば、理論上、ほとんどその日のタスクは終わったようなものになるのです。
したがって、パレートの法則を根拠とすれば2時間程度、午後に効率的にタスクをこなせば、わざわざ朝や夜に時間を割く必要はなくなるわけです。
図表1は昼重視型の時間管理の一例です。実際、朝や夜にやろうとしているタスクは密度が低いことも多く、日中に高密度で集中的に取り組めば、時間をかけずに終わることも多いのです。
仕事で本当にムダな時間は「指示待ち時間」
ただし、日本社会で意外と多いのは「指示待ち」「仕事待ち」「確認待ち」などの“待ち時間”です。
たとえば、「午後に仕事を終えても、夕方から会議があるので、それまでの時間は待機する」とか「早朝ミーティングのあと、昼から商談に出かけるから、それまでは他の業務をこなしながら待っていてほしい」といった感じです。
こうした待ち時間の解消をはかることも大切ですが、仕事の密度としては濃いわけではありません。したがって、待ち時間の有効活用をはかれば、朝や夜に別枠でタスクを入れなくても時間をつくり出せるのです。
「でも、それなら急に入った仕事ややり残しの仕事はどうすればいいのか」と、あなたは思うかもしれません。
確かにルーティンだけでなく、急な仕事が入ることで予定が狂うことはよくあります。そこでそのときに活用するのがバッファーである朝と夜なのです。
仕事前の朝や仕事後の夜に資格試験の勉強や副業などを日課としたり、それを習慣化しようとしても、なかなかうまくいきません。朝や夜の時間帯の活用方法は習慣的なタスクではなく、イベント的、突発的なタスクへの対応なのです。
もっといえば、どうしても習慣的にやるようなタスクを入れる場合、ある程度、期間を区切って、「この期間には集中的に決まったタスクを入れるようにしよう」というようにプロジェクト形式でこなすべきなのです。
「来週の社内会議の資料をつくるのに、今週いっぱいは早起きする」とか「来月の資格試験対策のために当面、早起きする」といったかたちで、目的だけでなく期間も明らかにしておくのです。