例題:絵の中で起きていることを作文で書いてみよう

まずは、作文を上手に書くための基本きほん、「一文作文」の練習からはじめましょう。

見たことを言葉で正しく表現ひょうげんするのは、案外あんがいむずかしいもの。ですから、作文を書く前には「書きたい物事」をじっくり観察かんさつすることが大切です!

観察するのは、100以上のことわざが描写びょうしゃされた「ネーデルラントのことわざ」という絵画。この絵をえがいたピーテル・ブリューゲル(父)は、事実を見たままに表現することが追求ついきゅうされたルネサンス期(※注)に、感情ゆたかな民衆の生活を描き「農民画家」ともよばれました。

注:ルネサンスは、教会(神)よりも人間を尊重した古代ギリシアやローマの文化を復活ふっかつさせようという運動で、14世紀せいきのイタリアにはじまり、16世紀まで西ヨーロッパ各地かくちに広がりました。

『ネーデルラントの諺』ピーテル・ブリューゲル(父)、1559年、ベルリン美術館絵画館蔵に番号等を追加(写真=WwG8mD89xbELbQ/PD-old-100-expired/Wikimedia commons

絵の中には、いろいろなことをしている人がいますね。この絵の中で起きていることをよく見て、5W1Hで作文してみましょう。5W1Hとは、次の6つです。

5W1Hとは…
WHEN(いつ)
WHERE(どこで)
WHO(だれが)
WHY(なぜ、なんのために)
HOW(どんなふうに)
WHAT(なにをした)

では、絵の中央の(例)の近く「ブタにかこまれた男の人」をよく見てください。この男性がしていることを、5W1Hで作文してみましょう。

 

一文作文の例

ある日(いつ)、
まちの広場で(どこで)、
男の人が(だれが)、
ブタにすかれようとして(なんのために)、
パラパラと(どんなふうに)、
ブタの前に花をまいた(なにをした)。

 

こんなふうに、見たことを言葉にして5W1Hの順に並べると、きれいな一文になります。

この男性が表しているのは「ブタの前にバラをまく」というネーデルラントのことわざ。ブタはバラのうちを知らないから、あげても意味がない。つまり「価値かちのわからない者には、どんな貴重きちょうなものも役に立たない」ということです。