「学生キャバクラ理論」で伝え方の順番を意識する

突然ですが、「学生キャバクラ理論」をご存知でしょうか?

「キャバクラで働く人が昼に大学で勉強している」と聞くと、「それは偉い」と感心する人が多く、「大学生が夜にキャバクラで働いている」と聞くと、「それはけしからん!」と叱る人が多い。

つまり、同じことを伝えるにしても、情報の順番で大きく左右するという話です。何かを依頼するときも、伝える情報の順番で印象は変わります。

「切り出し方が9割」といっても過言ではないくらい、出だしが重要です。

冒頭に挙げた依頼例も、こういう切り出し方をしてみるとどうでしょう?

「先週の資料ありがとう。役員会議で提出したらわかりやすいって評判で、またお願いできるかな? プロジェクトが承認されるかが懸かってる重要な書類で、この完成度でできるのが△△さんしかいないんだよ」

写真=iStock.com/dai2003
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印象が大きく変わりませんか?

まずは受け入れやすい情報からスタートして、心を開いてもらうことが大切です。冒頭の依頼例と比較して、新しく入った重要な要素は、「意欲創出」と「目的の明確化」です。

声かけで依頼する相手の意欲を引き出せるかどうかが鍵

まずは、「意欲創出」。

「仕事を受ける側はすべての仕事を面倒と思っている」という前提からスタートしましよう。

「やってみよう」と思ってもらう意欲を、依頼する側がつくりだす必要があります。

そのためには、「感謝される」「褒められる」「自分しかできない特別感」の3つがポイントです。

先ほどの依頼例の中では、「ありがとう」「評判で」「△△さんしかできない」がそれらにあたります。

ここで、とある中堅の社員エピソードを一つご紹介します。

彼女は議事録を積極的に引き受けてくれていました。

議事録とは、会議中に話された要点をまとめて、取引先と合意内容を確認したり、参加できなかったチームメンバーにシェアするためのメモです。

面倒くさいし、会議中にメモすることに労力を取られるので、みんなやりたがらず、一番若手が担当させられることが多いものです。

ある日、「なんで自ら手を挙げるのか」と質問すると、彼女は「『議事録をとてもよく整理できている』と取引先から以前に褒められたことで、自分でも得意と感じている。また、後輩からも感謝されるから」と理由を説明してくれました。

まさに、褒められ、感謝され、自分しかできない、の3つのポイントが彼女の動機となっていました。