無理めな仕事でも、相手にメリットがあるように言い換える

「締め切りが明日までで、間に合わないから手伝って」
「部として重要な案件だから、休み返上で取り組もう」

このような場合でも、「この仕事をやってほしい」というこちらの都合を、「その仕事をやりたい」という相手の欲求に沿った文言に変換する必要があります。

「規模の小さい案件なんだけど、自分がリーダーになって進められる仕事がしたいって言ってたから、お願いできるかな?」

「○○さんは若手でもトップクラスの営業成績だから、次のステージに行くために、新人のトレーナー役を引き受けてくれないかな?」

「ここで結果を残せば、来年は人員を増やせて負担も減るから、今回は部のみんなで残業して取り組もう」

このように言い換えれば、多少なりとも相手の欲求を加味した依頼になります。

ビジネス以外でも同じです。

「いつもたくさん意見をいただくので、実現させていくために、マンションの管理組合の幹事を一緒にやっていただけませんか?」

このように相手の意向に沿った文脈に変換し、メリットを提示することが必要です。「欲求充足」という考え方です。

「君のためになる」という頼み方は逆効果になる場合も

ただ、やりすぎには注意が必要です。

山本渉『任せるコツ 自分も相手もラクになる正しい“丸投げ”』(すばる舎)
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すでにモチベーションが高く、「このプロジェクトをチームのためにがんばろう」と思っている人に、例えば「ボーナスを上げるよ」といった外発的要因を与えると、やる気が低下してしまいます。

心理学で「アンダーマイニング効果」と呼ばれるものです。

子どもの頃に、「いい学校に入学したいから勉強しよう(内発的要因)」とやる気になっているのに、親から「勉強しないとお小遣いあげないよ(外発的要因)」と言われて、やる気を失った経験はなかったでしょうか。

「君のためになると思うんだ」「出世にいい影響があるよ」などの恩着せがましい発言も、メリットに見えてやる気を失う原因となる可能性があるので気をつけましょう。

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