タスクの目的をはっきりさせれば、モチベーションも上がる

もう一つの重要な要素は「目的の明確化」です。

その依頼内容が何のためのものかを、はっきりさせることが大切です。

このトピックには、「3人のレンガ職人」の寓話がよく使われます。“レンガを積む作業をしている労働者が何をしているかを尋ねられて、それぞれ「レンガを積んでいる」「壁をつくるために積んでいる」「教会を建てるために積んでいる」と答えた”というものです。

目的を理解することによって、モチベーションも仕事に対する意識も変わってくることを訓示しています。

目的がはっきりすると、その依頼の全体像が見えて、ただの「作業」に意義と価値が足されて、「仕事」になります。

そのことで、そのタスクが自分ごと化されて、参加意識が芽生えます。

地味なこと、面倒なこと、簡単に見えることこそ、その目的を明確にして、どう役立つのかを伝えることが大切です。

目的を説明するときの言い換え例

「ただデータを抜粋する」
→承認を得るための重要な書類作成、プロジェクトを成功させる

「部員の送別会の店を予約」
→良い店で会を盛り上げる、部全体の一体感が増す

このように、すべての作業はその先の大きな意図や意義があります。

どこまで伝えると意欲が湧くかを判断して、適切な依頼をしていきましょう。

この項目でお伝えしたことは、モチベーション向上に最大限寄与するポイントです。「やる気の出し方」というのは、相手の状況や能力によっても変わり、シンプルなものではありません。

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ビジネスの場ではつい自分本位の頼み方をしてしまうが……

「そこの醤油取ってください」といった日常のことから、「私と付き合ってください」というような大きな依頼までをすべてカウントすると、人は1日に約20〜30回のお願いをする、と言われています。

仕事でもプライベートでも、頼むからには相手に「イエス」と言ってほしいものです。

「ノー」と言われてしまう頼み方を一言で表すと、頼む側の一方的な都合でしかないものです。

デートの誘い文句で例えるとわかりやすいです。

「今週末ドライブ行かない? 俺、暇なんだけどさ、君が助手席にいると見栄えがいいんだよね」

この誘い方は「依頼者都合」だけの誘い方です。同じドライブに誘うにしても、相手の欲求に沿った「受け手都合」にすると、印象はかなり変わります。

「前に好きだって言ってたカフェがリニューアルしたから、ドライブがてら行かない?」

どちらがいい返事がもらえそうかは明らかです。

前者のような自分本位な誘い方をする人はあまりいないと思いますが、ビジネスの場ではこれに近しいことをよく見かけます。