ミツカンの項でリードユーザーの発見は困難と述べた(※記事はこちら:http://president.jp/articles/-/8240)。その理由の1つは、リードユーザーには一発屋が多いためである。米MITのフォン・ヒッペル教授らとの共同調査によると、1人のリードユーザーがイノベーションを起こした回数は3年間で1~2回というケースがほとんどなのだ。

つまり、いいアイデアを出した人を探し、「次のアイデアを出してくれ」と頼んだところで新しいアイデアはほとんど出てこない。リードユーザーはどんどん入れ替わる。消費者参加型のイノベーションに取り組む企業が増えているが、その多くはセミプロのようなユーザーを長期にわたって追いかけている。

ところが「Mart」はそこに気づき、同じ読者を繰り返し登場させることを極力避けている。絶えず外部から新しいアイデアが入ってくるコミュニティづくりを意識しているのだろう。

素人のアイデアは一目見ただけでよさがわかるようなものではないことが多い。だから、際だった特徴のある人や専門家を探すよりも難しい。だが、その困難な課題に挑戦しているのが「Mart」であると言えよう。

※すべて雑誌掲載当時

(永井 浩=撮影)
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