まず必要なのは、「不快をつくらない」

「気配り」がテーマにしては、不快(-)をつくらない、しかも自分が不快の原因にならないという、「予防型」の話が多くなってしまった気がする。反対に「創出型」に属する話は、必ずしも十分でなく、「早く気配り達人になりたい」と先を急ぐ方には、ちょっと不満が残るかもしれない。

あらためて補足的するが、「創出型」に関しても、スキーマを踏まえることは非常に大事である。「前もっての期待」がわかっているからこそ、その期待を超える、質の高い対応を考えることも可能になる。もちろん「予防型」などに比べて、より多くの想像力と創造力が必要であることは、あらためて言うまでもないだろう。

だが、世の中がまず必要としているのは、確実に「不快をつくらない」のほうである。自分もそれなりの年長者であるが、その実感としても、世間にまず期待するのは、「もう少しちゃんとしてくれ」であって、並外れたサービスや過剰な心づかいなどではない。店員の態度が悪いのに、やたらと演出に凝っている店がよくあるが、残るのは悪印象ばかり。順番を間違っているとしか言いようがないのである。

もし「気配り」によって誰かから認められ、特別な関係となることを望むならば、順番に気をつけたほうがよい。

最初にやるべきは、繰り返すようだが、まず自分自身が不快を生み出す存在にならないようにすることだ。その土台が壊れた状態では、その先で何をやろうとまったくの無意味である。

それができたら、次は「原因が自分以外にある不快」が生じないように努めることが求められる。自分起因の問題と合わせ、「予防型の気配り」がきちんとできるようになることである。

と同時に、相手が何かに悩んでいないか、センサーを働かせてみよう。「対処型の気配り」が可能になるかもしれない。それができれば、相手からの信頼は大幅に跳ね上がるはずである。

そして最後に「創出型の気配り」を目ざすとよい。身の回りの達人に学んでもいいし、超一流ホテルのサービスに学んでもいい。創意工夫を楽しみつつ、自分なりにさまざまな実践をしてみればいいのである。

「予防型」は確かに地味で、なかなか相手から気づいてもらえないかもしれない。しかし、それを嫌がっては未来がないことも確かである。頑張っている人は、必ずどこかで誰かが見てくれている。そうした信念を持ち続けることが、もしかすると「気配り達人」への最大の条件なのかもしれない。

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