完全に模倣せず、7割程度で自然に真似る
丁寧な敬語で話す人は、フランクな話し方の人を「品がない、無礼な人だ」と感じ、フランクな話し方の人は丁寧な敬語の人を「バカ丁寧で、堅苦しい」と感じることがあります。
ビジネスで専門用語を多用する相手には、こちらもしっかり専門用語で話をしたほうが理解も進みます。
ペーシング(同調行動)は、100%真似ると不自然で気持ち悪いと相手に感じさせてしまうので、7割程度で自然に真似れば十分です。
完全に模倣せず、部分的に模倣することを「クロスオーバーミラーリング」といいます。たとえば、相手が足を組んでいたら、自分は机の上で手を重ねる。
同じでなく、似ている状態になるように工夫すればいいのです。そうすれば、相手に怪しまれることなく自然に心理的距離を縮めることができます。
初対面でも旧知の仲のように感じてもらうためには、まず目に見える、表情、仕草、服装、話し方を自然に相手に合わせることで、目に見えない心が合ってきます。まずは相手の香り=雰囲気をあなたがまとうことが大切です。
仲のいい人とは自然に息が合っている
仲のいい間柄のことを「息が合っている」といいますよね。
ラポール(信頼関係)を構築するペーシング(同調行動)は、意識より無意識的な部分を合わせるほうが効果的です。その中でも一番重要なのは、呼吸です。
機会があればぜひ実験してほしいのですが、仲のいい人の前であなたがコーヒーを飲むと、同時か少し遅れて相手もカップに口をつけるはずです。
これは、息を吸い込むタイミングが同じだからです。仲のいい人とは自然に息が合っているのです。
なかなか寝ない赤ちゃんも、抱っこして呼吸を合わせると安心感が生まれ、あっという間に寝てしまいます。これは保育士さんの間では「スースーネンネ」と呼ばれ、お昼寝の時間に使われるプロの技です。
反対に、赤ちゃんにイライラしながら背中をトントンしても、なかなか寝てくれません。お互いの呼吸が合っておらず、ディスペーシング(反同調行動)になるからです。
呼吸は話すリズムに現れます。早口の人は呼吸が浅くてスピードが速く、呼吸がゆっくりな人は話すスピードもゆっくりです。
相手の話すスピードに合わせるとラポール(信頼関係)が生まれ、自分の話や意見を相手が理解し、受け入れてもらえる確率がアップします。