2024年上半期(1月~6月)、プレジデントオンラインで反響の大きかった記事ベスト5をお届けします。人間関係部門の第2位は――。(初公開日:2024年5月31日)
人生を生きやすくするには何をすればいいか。医師の和田秀樹さんは「妻が夫に対して、『しょうがない人ね。でも、まっ、いっか』と妥協している夫婦は、たいていうまくいっている。自分にも他人にも、100%の完璧を求めていたら、人生はとてつもなく窮屈なものになる。相手に完璧を求めないと同時に、自分に対しても甘くなるといい」という――。

※本稿は、和田秀樹『65歳からのひとりを楽しむ「いい加減」おつき合い』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

ベンチに座って遠くの景色を見ている中高年夫婦
写真=iStock.com/yanguolin
※写真はイメージです

会話の断片にこだわり、心をかき乱されてはいけない

誰かに言われたキツいひと言などが、いつまでも心に刺さったままになっていて、何かの拍子にそのことを思い出す。すると、「あの人にこんなひどいことを言われた」という悪感情がぶり返してきて、悶々もんもんとしてしまう。そんなこともあるかもしれません。

相手に言われたことがいつまでも忘れられず、その悔しさや怒りをくすぶらせ続けている、いわゆる「根に持つタイプ」の人は、相手が発した言葉の、ほんのわずかな断片にこだわっていることが多いものです。

たとえば「あなたは冷たい」と言われたことを根に持っている場合、往々にしてその言葉だけが心に刺さり続けています。

そこで、そのときの会話の流れを、あらためて思い返してみてください。その言葉が出たときの状況や、前後のやりとりはどうだったでしょうか。

相手が「冷たい」と感じるのも無理はないような、何らかのことをこちらが先に言っていたかもしれません。あるいは、こちらを責めるようなものではなく、もっと軽いリアクションのような言葉だったと気づくこともあるでしょう。

俯瞰ふかん的な視点で会話の流れ全体を見渡してみると、「相手がそう言うのもしかたなかった」「あれは弾みで出た言葉だった」などと、冷静に受け止められる可能性があります。

会話の断片にこだわるのは、週刊誌の広告のショッキングな見出しだけを目にして、心をかき乱されるようなものです。記事全体を読んでみると、それほどたいした話でもなく、バカバカしい気分になったりするものです。

一歩引いたところから全体を眺めると、ものごとを受け止めやすくなります。

少し離れることでラクになる。それは、人間関係全般に言えることです。

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