相手と信頼関係を築ける人は何をしているか。カウンセラーの藤本梨恵子さんは「会話の中で『私とあなたは、似ていますよ』と感じさせるには、ペーシング(同調行動)が不可欠だ。まずは目に見える、表情、仕草、服装、話し方を自然に相手に合わせることで、目に見えない心が合ってくる。100%真似ると不自然で気持ち悪いと相手に感じさせてしまうため、7割程度で自然に真似れば十分だ」という――。

※本稿は、藤本梨恵子『なぜか惹かれる人の話し方 100の習慣』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。

グループのセラピー
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「私とあなたは似ている」と伝われば安心感を覚える

あなたが「この人とは、なんか合うかも」と安心感や信頼感を抱くのはどんな人ですか?

人には、自分と似た人に安心感や信頼感を感じる「類似性の法則」があります。

太古の昔、人間は知らない獣や部族と出くわすと、襲われる危険がありました。自分に似ていない人は危険、似ている人は安全と感じるのは本能的な感覚なのです。

だからこそ、会話の中で「私とあなたは、似ていますよ」と“考えさせる”のではなく、“感じさせる”無意識領域のペーシング(同調行動)が不可欠なのです。

無意識領域には、呼吸やジェスチャーがあります。相手の表情や仕草などを鏡のように合わせることは「ミラーリング」と呼ばれています。短時間で安心感や信頼感を与えることができ、まるで以前からの知り合いのように感じてもらえます。

笑うときに大きく手を叩いて大声で笑う人や、説明するときに身振り手振りがつくオーバーリアクションの人には、こちらもジェスチャーを大きくして会話をしたほうが“あなたと私は似ています”と伝えることができます。

反対に、物静かに話す人に軽快に話すと「うるさく、落ち着きがない人だ」と思われやすいので、こちらも声やジェスチャーは控えめにして話すのが得策です。