顧客の7割が「1000円は予算内」と考えている

顧客の支払い意欲が価格によってどのように変化していくのか、グラフでさらに細かく検証してみましょう。データからは、ラーメン1杯あたり1000円は「高すぎて検討に乗らない」という人が31.3%存在することが読みとれます。同様に1200円では53.2%、1500円では83.1%の人が購入の検討から外れてしまうという結果でした。

筆者作成

それぞれ1000円、1200円、1500円に上がるラインで一定の顧客の離脱を引き起こしており、つまり「1000円の壁」のほかに、「1200円の壁」と「1500円の壁」も存在しているといえるでしょう。

注意しておきたいのは、この心理的な壁はすべての顧客を対象とした場合にのみ存在するということです。ラーメン店とひと口にいってもさまざまであり、全国チェーンから行列のできる個人店、二郎系やトマト麵まで業態は多岐にわたります。当然、ラーメンのジャンルによって、客層も支払い意欲も大きく変化します。

裏を返せば、価格が1000円でもおよそ70%の人が検討予算内に収まるということでもあり、店側が想像しているほど一般的な顧客は「高すぎる」と感じていないといえそうです。

週1以上食べるラーメン好きは価格への抵抗が少ない

このように、確かに価格の壁は存在しつつも、ターゲットによっては検討圏内にもなり得ます。重要なのは、「誰」をメインの顧客層に設定するのかという観点です。

例えば1カ月に4回以上ラーメンを食べるヘビーユーザーを対象に同様の調査を実施すると、一般消費者と比較して価格への寛容さが見てとれます。1杯1000円で検討外になる人の割合は23.5%と、一般消費者の31.3%と比較して8ポイント近くも離脱率が低いのです。

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さらに結果上は、価格が3ケタ台時の離脱は確認できませんでした。すなわちラーメン店のヘビーユーザーにとって一般消費者が離脱し始める800円~900円という価格は、十分検討範囲内といえそうです。

このような結果から、ラーメン好きをメインの顧客層に据えるのであれば、ある程度の高単価帯を狙うのも価格戦略上効果的だといえるでしょう。