今はどんなラーメンが人気なのか。ラーメンライターの井手隊長は「ミシュランに選出されるような『きれいなラーメン』が注目されている。ただ、現在はその揺り戻しともいえる現象が起きている」という。『なぜ、人はスガキヤに行くとホッとするのか?』(プレジデント社)を書いた高井尚之さんが聞いた――。
ラーメン屋のちょうちん
写真=iStock.com/DK Media
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ラーメンのスープから見る嗜好の変化

外食の一番人気を聞くと「ラーメン」と答える人が多い。さまざまな調査結果でも同様だ。1人で気軽に行ける点も支持されるのだろう。

ただ、好みについては意見が分かれる。

先日タクシーに乗車した際、中年の運転手さんは、「よく『おススメのラーメン店はどこですか?』と聞かれますが答えにくいです。私が好きな味とお客さんの好きな味は違うことが多いので」と話していた。

とはいえ、人気店の傾向はある。そこで今回はさまざまな店を食べ歩き、ラーメンライターとして活躍する井手隊長に、外食チェーン店とスープを中心に解説してもらった。ラーメン通向けではなく一般向けの内容で紹介したい。

すでに一般化した「二郎系」

10月10日、東海三県を中心にチェーン展開する「スガキヤ」から二郎系ラーメン「スガ・ジロー」が発売された。期間限定での販売(予定数がなくなり次第終了)で、単品では780円(税込み、以下同)、チャーシュー3枚がのった「肉マシ」が980円だった。

「1968年創業の『ラーメン二郎 三田本店』(東京都港区)や系列店で修業したわけではなく、二郎にインスパイアされたラーメンを提供しているお店を総称して”二郎系”と呼びます。二郎系のスープは豚骨ベースのこってり醤油味。

今回の『スガ・ジロー』は愛知県岡崎市の人気店・キブサチが監修したそうで、かえし(たれ)と背脂を加え、より濃厚な味わいに仕上げているようです」(井手隊長、以下発言は同氏)

「スガ・ジロー」
画像提供=スガキコシステムズ
「スガ・ジロー」

ニュースで報道されたのでご存じの人もいるだろうが、「スガ・ジロー」は発売直後から注文が殺到して多くの店舗で品切れ。10月14日には運営会社のスガキコシステムズが公式サイトで「商品販売見合わせのお知らせとお詫び」を発表。その後販売を再開したものの、予定数に達し、現在は販売を終了している。

もともとスガキヤには「ラーメン」(430円)がある。豚骨と魚介のWスープで、あっさり豚骨系。麺類全体に占める構成比は約4割という看板商品だ。今回の限定販売は、「スガキヤラーメンの可能性」を試した商品だろう。