なぜ二郎系ラーメンの店が増えているのか。ラーメン店主の石動龍さんは「多くの人が競争の少ないブルーオーシャンだと思うのだろう。わかりやすい行列がなくなるまで、似た店の出店は続きやすい」という――。

※本稿は、石動龍『会計の基本と儲け方はラーメン屋が教えてくれる』(日本実業出版社)の一部を再編集したものです。

「簡単に儲かる商売」が存在しない理由

一口に儲かりやすい商売は存在しません。時期や場所、オーナーの資質に左右される部分が大きいからです。

もちろん、時代に合って成功しやすい商売、失敗しやすい商売はあります。

それを見つけられるかは運が大きく絡みます。ここ20年で市場に出た革新的な製品のうち、スマートフォンは大流行しましたが、セグウェイは生産終了になりました。

技術革新が進んだり、状況が変わったりすると、産業自体が大きく傾くこともあります。例を挙げてみましょう。

大正時代に入って男性がスーツを着ることが一般層にも浸透し、仕立て屋さんとして起業する人が続々と現れました。

職人の手によって、それぞれの体型に合わせたスーツが一着一着、丁寧に仕立てられました。

オーダーメードは愛好者のための高級品になった
写真=iStock.com/taka4332
オーダーメードは愛好者のための高級品になった(※写真はイメージです)

どんな仕事も変化の波にさらされている

ところが、第二次世界大戦が終わり、高度経済成長期に入ると、状況が一変します。

あらゆる産業が機械化し、マニュアルによる大量生産の時代に入り、既製品のスーツが量販店にあふれるようになりました。

個人店は価格で太刀打ちできなくなり、徐々に廃業していきます。

やがて、スーツは既製品が当たり前で、オーダーメードは愛好者のための高級品になりました。

現代では、仕立て屋さんで独立するという選択肢は、一般的とはいえないものになりました。

士業としての私の仕事も新しい波にさらされています。

「AIに代替される仕事」と題された記事を読むと、たいてい「税務申告」が入っています。私の本業の1つである税理士が仕事としてなくなってしまうのは正直、とても困ります。予想が当たるとは限らないですが、そのような未来が到来する可能性は十分あるでしょう。