すべての人間が心に「仏性」を備えている

人間の心は本来、「仏性」を備えています。どんな人にも仏性はあります。仏性というと、なにやら高尚でむずかしく聞こえるかもしれません。しかし、そんなことはありません。

枡野俊明『悩まない練習』(プレジデント社)

人のために役立ちたいという気持ち、思いやりや優しさ、人に嫌な思いをさせないという気遣い。こうしたものも仏性です。

しかし、人はなかなか仏性のまま生きていけません。心の中には煩悩や執着が常に渦巻いています。怒りや嫉妬といった負の感情もしばしば生まれます。もし、それらを具体的な形で「見える化」したら、汚さや乱雑ぶりにきっとギョっとすることでしょう。

「得をしたい」「競争に勝ちたい」「相手を出し抜いて自分だけの成果にしたい」「もっとよく思われたい」「夢を実現するため、思い通りに人を動かしたい」「あの人が羨ましい」「許せない」……実にさまざまな欲望や思いが、仏性の周りを埃やゴミとなって覆っています。煩悩や感情のままに生きていると、仏性はどんどん曇っていくばかりです。

心がけ次第ですべてが変わる

しかし、心の埃は心がけ次第で、いくらでも払うことができます。

たとえば、お寺へお参りにいって、仏様に手を合わせると、心が鎭まり、気持ちが穏やかになったりします。これは、お寺という空間に身を置き、仏様に心をさらけだすことで、仏性を覆っていた雲が取り除かれるからです。

少しでも放っておくと、心はすぐに埃でいっぱいになります。毎日をどう生きるか、どんな心持ちで過ごすか、その工夫と努力をちょっとするだけで、仏性に近づき、きれいな心を保つことは十分可能なのです。

迷えばどちらの道に進んでもいい

「人生ゲーム」という昔からずっと根強い人気を持つボードゲームがあります。

ルーレットを回して出た数字の分だけ駒を進め、止まったところで書いてある指示に従い、お金を増やしたり、大きな買い物をしたり、家族をつくったり、人生のさまざまなイベントをゲームとして楽しむすごろくゲームです。