※本稿は、枡野俊明『悩まない練習』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。
ネット社会の副作用
ネット社会の広がりは、私たちの生活に役立つプラス面がある一方で、さまざまな副作用もあります。
そのひとつは、SNSにおける他人からの評価がその人の価値を決めてしまうかのような風潮です。SNSを利用していると、たくさんの「いいね」がもらえたり、フォロワー数が多いほど社会的に価値のある存在だと、当の本人も周りの人間も感じたりします。
他人が自分をどう見ているか。そんなことを気にする人が増えているように感じるのは、多分にネット社会の影響があるのだと思います。
「こんなことを言うと相手から顰蹙を買わないだろうか」
「ここで決断を下すと嫌われたりしないか」
そうして常に周りの目を意識するために、自分の言動に自信が持てなくなることもあるでしょう。
「自分の人生」をしっかり生きているか?
もちろん、独りよがりの判断は、よからぬ結果を招きますから、ある程度は他人がどう見るか、どう評価しているのかという客観性を持っておくことは大事です。
しかし、自身の言動を決める基準が他人や世間の側にあるとすれば、その人は「自分の人生」を生きていないことになります。
人の意見や考えは、あくまでその人の考えにすぎません。
当たり前のことですが、あなたとその人は違う人間であって、異なる人生を歩んでいます。あなたの代わりに生きてくれるわけではありません。親身にアドバイスしてくれる人の意見でも、鵜呑みにするのではなく、あくまで参考にする程度の気持ちで聞きましょう。
「回向返照」という禅語があります。「外側ばかり見ないで、自らの内側を光で照らしなさい」という意味です。周りの目や人の意見がつい気になってしまう人は、この言葉を胸におさめてください。
自分の心を明るく照らすと、やがて見えてくるものがあります。それが、あなたが選ぶべき道です。