「ソフト老害」のわかったフリはバレている

――なぜ「ソフト老害」という言葉がこれだけ大きな反響を呼んだと思いますか?

【鈴木】「バズってますよね?」「そういう人、いますよね?」と言われることもありますが、そういう人には「お前だよ」と思います。そして「俺もソフト老害だよー」なんて言う人は本気で思っていない。

僕は出世や成功を考えることはいいと思うのですが、それをひた隠しにして、いかにも若い人に理解があるようなフリをするのが「ソフト老害」だと言っているんですね。

恋愛でも別れる時に「他に好きな人ができた」と正直に言ってもらったほうがいいのに、「俺はまだお前のことが好きなんだけど、本気で好きになれないから」と言ったりする。これを僕は「ラブ老害」と言ってるんですが、それって言い訳じゃないですか? 嫌われたくないだけ。

40代の仕事も似ていると思うんです。自分が嫌われたくないから、いろんな言い訳を並べて本当のことを言わない。それが優しさだと勘違いしているんです。でも、若い人はわかっているんですよね。情報は自分が思っているよりも、周囲には入っていると思ったほうがいい。それなのに言葉を濁して伝えるから、「もうやめてくれよ」と思われてしまうんです。

信頼できる管理職、信頼できない管理職

――3月4日に放送された「渋谷のラジオ」の「やさしいラジオ」という番組では、渋谷の街中に設置された電話ボックスから募集した悩みに鈴木さんが答えていらっしゃいました。その中に40歳の会社員から「これから新入社員が入ってくるけれども、どう接したらいいのかわからない」という不安が寄せられていましたね。

今は管理職が「罰ゲーム化」しているともいわれるほど、管理職世代にとっても辛い時代です。どう若い人に接すればいいと思いますか?

【鈴木】僕らが若い時に憧れだった人が管理職になって厳しくなると、「自分は若い時やんちゃしてたのに、なんだ、管理職になって厳しくなりやがって」とみんなで文句を言っていたことがあります。でも、「俺はマインドチェンジしたんだ」とハッキリ言われたら、僕はめちゃくちゃスッキリしました。逆にこの人は信頼できると思ったんです。

自分に罪悪感があるから、「お前らのことがわかるよ」などと言うんだけど、「会社のことを考えて発言するけど」と言ってもらったほうがスッキリする。上のポジションに行きたいという気持ちもわかるし、若手にもバレていると思ったほうがいいです。

写真提供=GO
「やさしいラジオ presented by みずほ銀行」に出演した鈴木おさむさん(中央)。渋谷に設置された「やさしい電話ボックス」に寄せられた新生活の悩みに答えた