「SMAP×SMAP」で学んだ「器を変える」

――これまでやってきた放送作家や脚本家、小説家の経験を今後の仕事にどう生かしていこうと思われていますか?

【鈴木】自分でこれまでやってきたことの移植はできるなと思っています。

僕は「SMAP×SMAP」を作るときに、プロデューサーさんに「器を変える」っていうことをよく言われて、それが自分のものづくりの基本になりました。ゼロから作らなくてもスライドさせる。わかりやすく言うと、マグロの刺身をカルパッチョにするとか。みんなマグロそのものを自分で作ろうとする人が多いんだけど、味付けと盛り付けを変えて見せることが大事だと思っているんです。

今は自分をマグロに見立てて、器を変えてみようと思っているんです。

映像業界では50代以上は本当にしんどいんです。ギャラも高くなるから仕事も減っていったりする。やっぱり若い人のほうが新しい感覚を持っていますし。それなのに、みんな放送をやってきたからずっと放送に関わらなきゃと、やってきたことに固執しがちです。でも、みんなとても優秀なので、これまでの経験を生かしながら、例えばアパレルとかに挑戦してもいいんじゃないかと思います。

ただ僕はまだ3月31日に書籍を2冊も出しますし(インタビューは2月下旬)、今から脚本を書く映画もあるし、Netflixのドラマもこれから放送されるものもあります。結果的に2026年ぐらいまで、作品は世の中に出ます。3月いっぱいはこうした仕事を全力でやり抜こうと思っています。

「やりたいこと」を続けることを才能と呼ぶ

――「やさしいラジオ」では、今の時代は、新しいことを始めようと思った時に、いろいろな手段はあるから、言い訳がきかない時代になってきたともおっしゃっていますね。

ラジオで話す鈴木おさむさん
写真提供=GO
「やさしいラジオ presented by みずほ銀行」では、「自分の人生がすごく空虚なものだと感じる」という悩みに「やりたいことが見つかるかどうかは才能と運だと思う。大切なのは外に出ることと人にたくさん話すこと」とアドバイスした

【鈴木】僕は以前大学で授業を持っている時に、いろいろな人に来てもらっていたんですが、一度(YouTuberの事務所である)UUUMの創業者である鎌田(和樹氏、2023年9月に取締役会長を退任)に来てもらったことがあるんです。

その時にある大学生が「俺、結構コネがあってYouTuberやろうと思っているんですよ」って言ったんですね。そしたら鎌田が「今すぐに始めたらいい」って言ったんです。その後も「1回目どう投稿したらいいかなと思って」という学生に対して、「だからまずはやればいいんだよ」と。

それが全てなんですよね。やるかどうかが大事。今の仕事を辞めなくても、今の気持ち、やりたいことをノートに書くのでもいい。そしてその気持ちを持続させて、何かを始めて続けることを才能と呼ぶんだと思います。