40代は「しんどい」と覚悟していた
――鈴木さんが提唱された「ソフト老害」という考え方が大きな反響を呼んでいますね。これだけの反響があったということは、「もしかしたら?」と自分を振り返った人が多かったのだと思います。
「ソフト老害」は鈴木さんご自身が40代での経験から名付けられたものですが、鈴木さんは40代から「老害」を自覚されていたんですか。
【鈴木おさむ(以下、鈴木)】僕はずっと40代ってしんどそうだな、と思っていたんです。一緒に仕事をしてきた人たちが、40代になって立場が上がると変わってしまうのも見たし、変わらざるを得ない事情も理解できたんです。だから40代になる前にいろんな先輩に、「40代ってしんどいですか」って聞いていたら、「しんどいよ」って。「やっぱ、しんどいんだ」と、僕は覚悟して40代になりました。
「仕事が面白くなくなってきたな」
――その40代での「しんどさ」、鈴木さんにとってはどんな形で体験することになったんですか。
【鈴木】僕は19歳から放送作家の仕事をさせてもらって、30代ですでにいろんなヒット番組をやらせてもらっていました。その時にはある種の全能感もあったし、勘違いもしていたと思います。
そんな中で、自分が一緒に仕事をしてきたテレビ局の人たちが40代になり出世し、立場が変わって、会社のこと、全体のことを考えるようになると、僕も彼らに寄り添った立場で考え、発言するようになりました。
それ自体悪いことではないんですが、そうなると30代まで自分が面白いと思ったことをマグマのようにボーンと出せたのが、1回ブレーキをかけたり、全体のことを考えてマイルドにコーティングしたりするようになる。僕自身が自由じゃなくなっていて、いろんなバランスを考えるようになっていたんです。
でも最初は自分では気づいていないんですね。ただ、少し仕事が面白くなくなってきたなとは思っていました。