179市町村中175市町村で出店済み、カバー率は99.8%

まず、店に対する考え方ですが、大手は、出店エリアを全国に拡大することで成長を図ってきました。それに対し、セイコーマートの場合、一部、本州にも店舗がありますが、北海道内で店舗網の拡大を進めています。

セブン‐イレブンは、出店エリアへの商品供給体制を整えてから一気に店舗展開を図るドミナント出店を徹底していますから、出店開始までに時間がかかるものの、いったん出店を決めれば、店舗は面の状態で増えていきます。

一方、セイコーマートの場合は、北海道内をくまなく、という印象があります。

2023年8月、大手3社のなかで、北海道への進出がもっとも早かったローソンが、北海道の北端に近い稚内に2店舗を出店したことが話題になりました。実は、セイコーマートは、すでに、1993年の時点で稚内市に店舗を構えていました。

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セイコーマートの場合、採算がとれなさそうな立地でも、自治体や地域からの要望に応じ出店することがあります。コミュニティバスの待合所の併設とその清掃業務を受託するという条件で出店したり、出店用地を地域住民が買い上げ、住民が用地を紋別市に寄附し、その用地を紋別市が無償でセイコーマートに提供するといったケースもあるそうです。

現在、セコマグループの小売店は、道内179市町村中175の市町村に出店、道内総人口の99.8%をカバーしています(セブン‐イレブンの場合、120市町村)。

FCを推奨せず、直轄店経営を軸

またチェーン展開を前提にしながら、現在、フランチャイズ(FC)の積極的な加盟店募集をせず、直轄店化を進めているというのもセイコーマートならでは、です。

いまのように、日本中どこにでもコンビニがあるような状態になってくると、大手といえども、出店するだけで儲かる時代ではありません。FC本部は出店が増えればそれだけ収益が増える構造ですが、FCオーナーの場合は違います。売上がしっかり見込め、手元に利益が残らなければ、それ以上の出店拡大は望めません。

特に最近は、どのコンビニチェーンでも、競争が厳しいうえ、店舗スタッフの人手確保の難しさもあり、FCオーナーの利益を削る状況が続いています。それに対し各チェーン本部では、既存のFCオーナーに複数店舗の運営を勧めたり(複数店舗を運営すれば、オーナーの利益額は増える傾向にある)、ネットコンビニやデリバリーサービスを利用した宅配サービスのように、店舗側の負担が比較的軽く、売上がオンされるような施策を増やしたり、店舗スタッフの採用をサポートする仕組みを採用するケースが多くなっています。

コンビニを取り巻く環境が、そうした状況に進んでいる中、セイコーマートでは直轄店を増やしています。しかも、コンビニの代名詞ともいえる、24時間営業にはこだわらない店舗です。