結果を出すために、とにかくあきらめない
ホームケアに行くと「ジョイくん」のキャラクターで「ジョイ」を伸ばし、「ファブリーズ」では置き型を含めて爆発的に伸ばし、「ボールド」では次々と話題になる面白い広告を作り、たくさんの広告賞をいただきました。
どうしてそんなことができたのかというと、「イシュー」に対して、逃げずに徹底的に向き合い、その解決にチームと一丸となって挑んだからだと思っています。もちろん、やるべきことはたくさん出てきますが、だからこそ、戦略的な集中を行う。
見つけた戦略が尖っていれば、だいたい反対にあいますから、そこではパッションが必要です。松嶋菜々子さんにノーと言われたら、普通は「ま、いいか」であきらめるのですが、私はあきらめない。「ま、いいか」はないのです。
そこで逃げたらダメ。そもそも、私が会いに行ってノーと言われたわけではない。やるべきことをやっていないわけです。そこで、もっとも成功できる方法を考える。私よりも、社長が行ったほうがいいと思えば、そうする。誰に助けてもらえばベストなのかを考える。結果を出すために、です。
結果を出すために、とにかくあきらめないのです。
「ブランドマネジメント制」が優秀人材のベース
先にも少し触れましたが、P&G出身者は「P&Gマフィア」などと呼ばれて、いろいろな企業で活躍するようになっています。そのベースになっているのが、「ブランドマネジメント制」にあると私は感じています。
この仕組みの中で、消費者マーケティングのプロとして育てられ、同時にブランドやカテゴリーのPLや利益の責任を負う。これは、小さな会社の社長になるようなものなのです。
P&Gに入社すると、ブランドマネジメント制の中で、20代で3つくらいのブランドやカテゴリーを担当することになります。小さなものなら数十億円。中堅規模で数百億円。大きなものなら1000億円を超すブランド=会社を、30歳ほどで3社経験しているような状況になります。
言ってみれば、すでにいろんな会社で働いているような経験を持っているのです。しかも、ブランドマネジャーになれば、会社の運営に近い仕事になる。ブランドマネジメント制が、これを可能にしているのです。
実際、ブランドは、大きなマーケティング予算を扱います。ここから、どんなプロモーションを行えば、消費者行動が変化し、シェアが上がったり、売り上げが上がったりするのか、相関関係を見ながら、その予算の使い方を考えなければなりません。