「働き方」の改革に取り組む企業

民間企業が働く時間や場所を社員が自由に設計できる「働き方改革」の流れを加速している。ファーストリテイリングは10月、カジュアル衣料専門「ユニクロ」で転勤のない「地域限定社員」を対象に「週休3日制」を採用した。

リクルートホールディングスは、全社員を対象に上限日数のない在宅勤務制度を10月から導入した。また、プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン(P&Gジャパン)は7月、一定の条件を満たせば、月に5日間、在宅のほか事業所以外のどこでも業務ができる制度を設けた。働き方に自由度、柔軟性を高め、働きやすい環境で社員の能力を引き出し、生産性を高めるのが狙いだ。自動車大手も在宅勤務を拡充するなど、こうした動きが業種を問わず広がりをみせている。

「ゆう活」特設サイト(政府広報オンラインより)

仕事とプライベートを両立・調和するワーク・ライフ・バランスもこの流れを後押しする。総合商社などが残業をなくし、早朝勤務手当を付ける「朝型勤務」を採用したのも同様な目的だ。半面、慢性化する人手不足への対応や、育児や介護に追われ、やむなく離職せざるを得ない社員をつなぎ止める少子高齢化時代ゆえの負の側面も、企業に働き方改革を迫る大きな要因となっている。

折しも、自民党総裁への再選を果たした安倍晋三首相は9月24日に記者会見し、「長年手つかずだった日本社会の構造的課題である少子高齢化の問題に真正面から挑戦したい」と、アベノミクスの「新3本の矢」を発表した。50年後も人口1億人を維持できる国家構築に向け、「1億総活躍社会」をスローガンに、新たに「強い経済」「子育て支援」「社会保障」の3つの矢を放つ考えを示した。