部下とチームの両方が伸びなければ評価されない

そもそも銀行に預けておけば、世界では4~5%の金利で増えていきます。それと同じ利回りにしたのでは、ブランドマネジャーにお金を預ける意味がない。そういうことも、入社3、4年目には学びます。予算を預かれば、年利5%以上のバリューを出さなければいけないということです。

そして先にも少し触れたように、P&Gでは、部下とチームの両方が伸びなければ評価されません。自分だけが伸びても昇進はないのです。チームの育成、トレーニングの大切さ、リーダーシップ、問題解決能力が必然的についてくる。

オフィスで手を合わせるチームの仲間
写真=iStock.com/AnVr
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会社に雇われているのではなく、オーナーシップを持って、自分のブランドを率いていくという意識が強くなるのです。

部下を持つと、360度評価になります。自分の強みと弱みが、はっきりと文書で書かれて出てきます。多方面に目を配っていなくては、当然、評価は得られません。

30歳で「SK-II」のブランドマネジャーを担当していた時には、年間400億円のブランドでした。それからホームケアやランドリーになると、1000億円規模のカテゴリーを見ていくことになりました。

極めてハードな仕事を30歳そこそこで経験できた

また、私自身、後に韓国も見ていくことになりますが、グローバル市場も担当領域になりました。

こういう仕事を30歳そこそこで担う。ものすごくストレッチでチャレンジなプロジェクトばかりでしたが、それはありがたいことでした。しかも当時のP&Gは先輩社員の人数も少なく、先輩たちは後輩を育て、P&Gのポートフォリオを増やし売り上げを上げるしかなかった。上司が「こいつはもう無理だ」と思ったら、昇進は止まってしまう。

その意味では、マーケティングなど学生時代まったく勉強してこなかった私を、先輩方がどれほど我慢強く育ててくれたのか、とても感謝しています。P&Gに入っていなかったら、今の私はいない。それは断言できます。

だから、私にできるのは、自分が学んだことをこれからの人たちにお伝えしていくことなのだと思っているのです。