ところが近年、ガーディアン紙が「プロ化」と形容するように、手軽に経営できるホテルとして手を出すホストが増えてしまった。チェックインの際も暗証番号による解錠で済ませるなど、ゲストとの接触はほぼ皆無にし、滞在中はノータッチという運営形態が目立つ。ゲストのプライバシーを重視できる反面、万一の近隣トラブルの際に迅速な対応は期待できない。
Airbnb自体が絶対的に悪であるというわけではない。例えばかつては、ホテルより比較的安価に宿泊できる利点があった。限られた予算で世界を見て回りたい学生や若者を中心に、ずいぶんと世界中の旅人の役に立ち、Airbnbなしでは不可能だった冒険を可能にしたことだろう。
地元との共存を図らない限り、民泊の将来は暗い
しかし「プロ化」が進んだ現在、家賃高騰や騒音問題の引き金となり、都市の本来の住民からそっぽを向かれる状態に成り果ててしまっている。地元住民の信頼を失った結果、世界の都市で規制がどんどんと導入されている。これでは未規制の地域のオーナーとしても、いつ事業性が音を立てて崩れるとも知れない。自宅の有効活用から出発したAirbnbは、いまや危険なビジネスになってしまった。
Airbnb社としてもある程度事態を受け止めており、パーティー禁止のリスティングを明示的に表示するなど一定の対策を取っている。だが、問題が絶えないのが現状だ。地域との共存に本腰を入れない限り、短期ステイのビジネスとしての継続は、将来的に非常に難しくなる可能性がありそうだ。